ホームページ保守契約に含まれるべき項目|契約前チェックリスト

「月額1万円の保守」と「月額3万円の保守」。この2つを金額だけで比べても、何も分かりません。

保守契約は、会社によって含まれる範囲がまったく違います。更新作業だけの契約もあれば、障害時の復旧まで含む契約もある。安いほうを選んだ結果、トラブル時に「それは別途費用です」と言われるのは、よくある話です。

この記事では、保守契約に含まれるべき項目を分解し、契約前に確認すべきことを整理します。

この記事で分かること

  • 保守契約に含まれる6つの領域と、確認すべき条件
  • 価格帯ごとに、通常どこまで含まれるのか
  • 範囲外になりやすい項目
  • 契約前に確認する10項目のチェックリスト
目次

保守契約の6つの領域

領域内容重要度
1. 更新作業WordPress本体・テーマ・プラグインの更新必須
2. バックアップ定期取得と、復元作業必須
3. 障害対応表示されない、エラーが出るときの対応必須
4. コンテンツ更新代行お知らせ掲載、文言修正、画像差し替え任意
5. セキュリティ監視、改ざん時の復旧要確認
6. 監視・レポート死活監視、アクセス解析レポート任意

この6つのうち、1〜3が入っていない契約は「保守」とは呼べません。逆に4〜6は、必要性に応じて選べばよい項目です。

1|更新作業

WordPressサイトで最も重要な保守項目です。確認すべきは次の点です。

確認事項質問の仕方
頻度更新作業は月に何回行いますか
対象範囲本体・テーマ・プラグインのすべてが対象ですか
更新後の不具合対応更新で表示が崩れた場合、修正は保守費に含まれますか
事前確認テスト環境で確認してから本番に適用しますか
PHPバージョンPHPのバージョンアップ対応は含まれますか

太字の項目が最重要です。「更新はするが、それで崩れたら別途費用」という契約は珍しくありません。しかし更新して壊れるのは保守側の作業結果ですから、ここは含まれるべきです。契約前に必ず確認してください。

更新事故への対処はバージョンアップでサイトが壊れたときの対処で解説しています。

2|バックアップ

確認事項望ましい水準
取得頻度1日1回(更新頻度が低ければ週1回でも可)
保存世代数最低でも7世代、できれば30世代
保存場所同じサーバー以外にも保存されているか
対象ファイルとデータベースの両方
復元作業復元は保守費に含まれるか、別途費用か
復元の所要時間依頼から何時間で戻せるか

保存世代数が重要な理由は、改ざんに気づくのが数週間後になることがあるからです。7世代しかなければ、すでに汚染されたデータしか残っていません。

保存場所も同様です。同じサーバー上にしかバックアップがなければ、サーバーごと問題が起きたときに一緒に失われます。

3|障害対応

確認事項質問の仕方
受付時間何時から何時まで受け付けますか。土日祝は対応しますか
着手までの時間連絡から何時間以内に着手しますか
連絡手段メールのみですか。緊急時の電話窓口はありますか
対応範囲サーバー側の障害も窓口になってもらえますか
費用障害対応は月額に含まれますか、時間課金ですか

ECサイトや予約サイトなど、停止が直接売上に響くサイトでは、受付時間と着手時間を必ず契約書に明記してもらってください。「営業時間内に順次対応」では、金曜夜の障害が月曜まで放置されます。

4|コンテンツ更新代行

自社で更新できる体制があるなら不要ですが、含める場合は範囲を明確にします。

  • 月何件、または月何時間まで含まれるか
  • 超過分の単価
  • 対応の範囲(文言修正のみか、レイアウト変更も可か)
  • 依頼から反映までの日数
  • 繰り越しの可否(今月使わなかった分を翌月に回せるか)

「軽微な修正」という表現には注意してください。何が軽微かの認識は、発注側と制作側でずれます。「1件あたり30分以内の作業」のように、時間で定義してもらうほうが揉めません。

5|セキュリティ・改ざん対応

最も範囲外になりやすい項目です。必ず明確にしてください。

項目確認すること
改ざん時の調査原因調査は保守に含まれますか
改ざん時の復旧復旧作業は保守費内ですか、別途費用ですか
別途の場合の目安おおよその費用感を聞いておく
セキュリティ設定二段階認証、ログイン制限などの設定は含まれますか
脆弱性情報の監視使用中プラグインの脆弱性情報を追ってもらえますか

改ざん復旧は15万〜50万円かかる作業です。多くの保守契約では範囲外ですが、それ自体は不当ではありません。問題なのは、含まれると思い込んだまま契約することです。

実際に起きたときの流れはWordPressが改ざんされたときの初動対応をご覧ください。

6|監視・レポート

  • 死活監視:サイトが落ちたら自動検知して通知する。数分間隔で監視するのが一般的
  • SSL期限の監視:期限切れを事前に通知
  • アクセス解析レポート:月次でアクセス状況を報告
  • 改善提案:数値をもとにした施策の提案

死活監視は入れておく価値があります。サイトが止まっていることに、担当者が3日間気づかなかった——これは実際に起こります。

レポートは、届いても読まれないなら費用の無駄です。「レポートを見て何を判断するのか」が決まっていない場合は、無理に付けなくて構いません。

価格帯ごとの目安

月額通常含まれる範囲
3,000〜5,000円サーバー・ドメインの管理代行のみ。更新作業は含まないことが多い
5,000〜1万円更新作業+バックアップ。障害対応は時間課金
1万〜3万円更新+バックアップ+障害対応+軽微な更新代行(月1〜3件)
3万〜5万円上記+死活監視+月次レポート+更新代行の件数増
5万円以上上記+改善提案、コンテンツ制作、セキュリティ対応の拡充

あくまで目安です。金額ではなく、含まれる項目で比較してください。同じ1万円でも、更新作業が入っているかどうかで価値はまったく違います。

保守契約を結ばない選択はあるか

あります。ただし条件付きです。

結ばなくてよい条件結ぶべきケース
社内にWordPressを扱える担当者がいる担当者がいない、または1人だけ
更新作業を継続できる体制がある本業が忙しく、更新が後回しになる
バックアップを自動化し、外部保存しているバックアップの仕組みがない
トラブル時に自力で切り分けられるサイト停止が売上に直結する
静的サイトでCMSを使っていないECサイト、会員機能がある

「担当者が1人だけ」は、体制があるとは言えません。その人が退職・休職した瞬間に、誰も触れないサイトになります。実際、そこから「管理情報が分からない」という相談に発展するケースが多くあります。

契約前チェックリスト

  • 更新作業の頻度と対象範囲は明確か
  • 更新後の不具合修正は含まれるか
  • バックアップの頻度・世代数・保存場所は十分か
  • 復元作業は保守費に含まれるか
  • 障害対応の受付時間と着手までの時間は明記されているか
  • 改ざん時の復旧は含まれるか。別途なら費用の目安は
  • コンテンツ更新代行の件数・時間・超過単価は明確か
  • 最低契約期間と解約予告期間は何か月か
  • 解約時に、データとアカウント情報を引き渡してもらえるか
  • サーバー・ドメインは自社名義で契約されているか

最後の2つは、乗り換えの自由に直結します。「解約は3か月前までに通知」「データは引き渡さない」という条件だと、実質的に他社へ移れません。名義の考え方はサーバー・ドメインをお客様名義で契約すべき理由をご覧ください。

よくある質問

Q. 制作した会社以外に保守を頼めますか?

可能です。ただし引き継ぎ時にサーバー情報、CMS管理者アカウント、使用中の有料テーマ・プラグインのライセンスが必要になります。制作会社名義のライセンスがあると、そこで詰まることがあります。

Q. 更新を自分でやれば保守費は不要では?

継続できるなら選択肢です。ただし「更新して壊れたときに自力で戻せるか」を基準にしてください。戻せないなら、結局その時点で有償対応を依頼することになり、緊急対応のぶん割高になります。

Q. 何もトラブルがない月も費用が発生するのは損では?

何も起きていないのではなく、更新作業とバックアップが継続されているから何も起きていないと考えてください。保険と同じ性質の費用です。ただし、実際に何が行われたかの報告は求めてよい項目です。

Q. 見積書の保守項目が「保守一式」としか書かれていません

内訳を出してもらってください。本記事の6領域それぞれについて、含む・含まないを明示した書面を求めるのが確実です。応じない会社は候補から外して構いません。

まとめ

  • 金額ではなく含まれる項目で比較する
  • 更新・バックアップ・障害対応が入っていない契約は保守ではない
  • 最重要の確認事項は「更新後に壊れた場合の修正が含まれるか」
  • バックアップは世代数と保存場所を確認する
  • 改ざん復旧は範囲外のことが多い。思い込まず確認する
  • 最低契約期間・解約予告・データ引き渡しを契約書で確認する

保守契約は、トラブルが起きたときに初めて価値が分かります。だからこそ、起きる前に範囲を確定させておいてください。

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