公式公募要領の確認日:2026年10月7日
ホームページ関連の費用が補助対象になるかは、制度・事業計画・経費の条件によって異なります。
「ホームページを作りたい」という希望だけで対象になるわけではありません。対象者、事業目的、対象経費、審査の条件を確認する必要があります。
補助金は「販路開拓」や「業務のデジタル化」といった事業上の取り組みを支援する制度で、ホームページはその手段のひとつという位置づけです。
この構造を理解すれば、どの制度を選び、どう申請書を書くべきかが見えてきます。
この記事では、確認できた国の制度について、申請前に知っておくべき5つの前提から解説します。
この記事で分かること
- 補助金申請で失敗しないための5つの前提(後払い・交付決定前の発注など)
- ホームページ制作に使える主な補助金と、その使い分け
- 2026年度からIT導入補助金がどう変わったか
- 申請から入金までの流れと、実務上の注意点
持続化補助金は第20回・第8版、AI導入補助金2026は通常枠とインボイス対応類型の8月28日更新版を確認しました。自治体の個別制度やAI導入補助金の直近の受付締切は、ここでは確認済みとして扱いません。
申請前には必ず各制度の公式サイトで最新の公募要領をご確認ください。
申請前に知っておくべき5つの前提
制度の一覧を見る前に、ここを押さえてください。
対象外となる発注や資金繰りの不足を避けるため、次の5点を確認しましょう。
前提1|補助金は「後払い」
もっとも重要な前提です。
補助金は、事業を実施し、支払いを完了し、実績報告を提出して審査を受けたあとに入金されます。
つまり制作費は、いったん全額を自社で立て替える必要があります。
サイト制作費100万円の2/3が、そのまま戻るとは限りません。補助対象経費、補助率、経費区分ごとの上限を合わせて計算します。持続化補助金第20回のウェブサイト関連費には、別途30万円の交付申請額上限があります。
入金時期は制度・公募回・実績報告の審査状況によって異なります。申請前に支払い資金と実施期限を確認してください。
資金繰りの計画に必ず織り込んでください。
前提2|交付決定前に発注すると対象外になる
交付決定前の発注・契約は、対象外となる原因になります。
持続化補助金では、採択通知と交付決定通知は別です。AI導入補助金は交付申請後に交付決定を受け、契約・発注へ進みます。
- 持続化補助金:申請(交付申請書を含む) → 採択発表 → 見積書等の提出・必要な訂正 → 交付決定 → 発注・契約 → 制作 → 支払い → 実績報告 → 入金
採択されたからといって、すぐに契約してはいけません。
持続化補助金とAI導入補助金では、交付決定前に契約・発注した経費は対象外です。決定通知と事業実施期間を確認してから進めてください。
前提3|持続化補助金はサイト関連費「だけ」で申請できない
小規模事業者持続化補助金では、ウェブサイト関連費に上限が設けられており、ウェブサイト関連費のみでの申請はできません。チラシ制作、展示会出展、店舗改装といった他の販路開拓の取り組みと組み合わせる必要があります。
第20回の公式公募要領(第8版)では、ウェブサイト関連費の補助金交付申請額は上限30万円(税込)で、同経費だけでの申請はできません。サイト制作費そのものの上限ではありません。補助事業期間は交付決定日から2028年3月31日までです。
前提4|事業実施期間内に「支払いまで」完了させる必要がある
事業実施期限と、実績報告書の提出期限は別です。制作・納品・支払いは事業実施期間内に完了させ、その後、指定された期限までに実績を報告します。報告期限まで支払いを延ばせるわけではありません。
持続化補助金第20回の事業実施期限は2028年3月31日です。実績報告は、事業終了日(支払い完了を含む)から30日を経過した日と、2028年4月10日のいずれか早い日までに提出します。早く事業を終えた場合も、4月まで待てるとは限りません。
実施期間から逆算してスケジュールを組んでください。
制作の各工程にかかる期間はホームページ制作の流れと期間の目安にまとめています。
前提5|採択されても、そのあとに事務作業が続く
実績報告では、見積書・発注書・契約書・請求書・振込控え・成果物の証拠(サイトのスクリーンショットなど)を揃えて提出します。
制度によっては、事業終了後も数年にわたり事業状況の報告義務が続きます。
書類は最初から補助金申請を前提に揃えてください。制作会社には制度名・公募回・必要な明細や証拠資料を示し、発行できる書類と対応費用を発注前に確認します。相談しただけで必要書式がすべて揃うとは限りません。
ホームページ制作に使える主な補助金
小規模事業者持続化補助金<一般型・通常枠>
販路開拓に取り組む小規模事業者が、対象要件を確認する制度です。
販路開拓の取り組みを支援する制度で、ホームページ制作もその一環として計上できます。
| 項目 | 第20回公募の内容(2026年10月7日確認) |
|---|---|
| 補助上限額 | 50万円 |
| 補助率 | 2/3(賃金引上げ特例のうち赤字事業者は3/4) |
| インボイス特例 | 要件を満たすと上限に+50万円 |
| 賃金引上げ特例 | 要件を満たすと上限に+150万円 |
| 両特例を満たす場合 | 上限に+200万円 |
| 申請受付開始 | 2026年11月5日(木) |
| 事業支援計画書(様式4)発行受付締切 | 2026年12月4日(金) |
| 申請受付締切 | 2026年12月15日(火)17:00 |
注意したいのが「様式4」の発行締切です。
申請には商工会・商工会議所が発行する事業支援計画書が必要で、その発行受付は申請締切より早く締め切られます。
ここを見落とすと、申請そのものができません。
相談窓口は、事業所が属する地域の商工会・商工会議所です。
必要な書類と相談窓口の受付予定を確認し、様式4の発行締切より余裕をもって相談してください。
対象:常時使用する従業員数が一定以下の小規模事業者(業種により基準が異なります)。
個人事業主も対象です。
デジタル化・AI導入補助金2026(旧・IT導入補助金)
2026年度から、IT導入補助金は「デジタル化・AI導入補助金」に名称と制度が変わりました。正式名称は「中小企業デジタル化・AI導入支援事業費補助金」です。
以前の名称で検索している方は、この点にご注意ください。
| 項目 | 内容(2026年10月7日確認) |
|---|---|
| 補助額 | 通常枠:5万円〜150万円未満(1プロセス以上)、150万円〜450万円以下(4プロセス以上)。インボイス対応類型のITツール:上限350万円 |
| 補助率 | 通常枠:1/2以内(公募要領の最低賃金要件を満たす場合は2/3以内)。インボイス対応類型のITツール:50万円以下の部分は3/4以内、小規模事業者は4/5以内。50万円超〜350万円の部分は2/3以内 |
| 申請枠 | 通常枠/インボイス枠(インボイス対応類型・電子取引類型)/セキュリティ対策推進枠/複数者連携デジタル化・AI導入枠 |
| 公式公募要領 | 通常枠/インボイス枠(インボイス対応類型)。上記の金額・率はこの2枠の説明 |
ここで重要な注意点があります。
この制度は、ホームページ制作費を広く補助する制度ではありません。
対象となるのは、事務局に登録された「ITツール」を導入し、販売管理・予約管理・在庫管理・会計といった業務プロセスを改善する取り組みです。
単なる会社紹介のコーポレートサイトは、原則として対象になりません。
予約・顧客管理・EC機能があるだけでは対象とは判断できません。登録済みITツールか、必要な業務プロセス数や枠ごとの機能・事業者要件を満たすかを確認します。インボイス対応類型では会計・受発注・決済の機能要件があります。
通常枠の対象経費は登録されたソフトウェア、クラウド利用料(最大2年分)、導入関連費です。実施・実績報告期間は公募要領で交付決定日から6か月間程度とされ、詳細は公募回ごとに確認が必要です。
申請には、事務局に登録された「IT導入支援事業者」との連携が必須です。
制作会社がこの登録事業者かどうかを、依頼前に必ず確認してください。登録がなければ、その会社経由では申請できません。
ものづくり補助金
第23次の公募要領(2026年2月6日)では、製品・サービス高付加価値化枠は、革新的な新製品・新サービス開発に必要な設備・システム投資等を対象としています。単なる既存事業のプロセス改善とは区別されています。
ホームページを作ることだけで対象になる制度ではありません。設備・システムを導入するだけで新製品・新サービス開発を伴わない事業も、同枠の対象外です。
確認した第23次の申請締切は2026年5月8日17時で、すでに終了しています。ここでは次回公募の受付を確認済みとはしていません。
ホームページ制作を主目的とするなら、ほかの制度を検討してください。
自治体独自の補助金・助成金
自治体の制度は地域・年度・公募回ごとに異なります。本記事では個別の公募要領を確認していないため、受付中の制度や競争率は示していません。候補を見つけたら次を確認してください。
- 所在地・業種・事業規模などの対象者要件と補助上限・補助率
- サイト制作・改修・運用のうち、どの経費が対象か
- 必要書類、審査方法、採択後の手続き
- 公募期間、予算による終了条件、交付決定前の着手可否
「(自治体名) ホームページ制作 補助金」などで候補を探し、自治体・実施機関の公式公募要領まで確認してください。
不明点は商工会議所や地域の産業支援センター、制度の実施機関に確認してください。
制作会社に相談する場合も、制度名・公募回・対象経費を公式公募要領と照合してください。
支援内容と費用、誰が申請を行うかを依頼前に確認しましょう。
所在地の自治体サイトでは、産業振興・事業者支援のページを確認します。制作会社の紹介ページだけで受付状況や対象条件を判断しないでください。
どの制度を選ぶべきか
| あなたの状況 | 要件を確認する候補(利用を保証するものではない) |
|---|---|
| 従業員数の少ない小規模事業者で、販路開拓としてサイトを作りたい | 小規模事業者持続化補助金 |
| 予約システムや顧客管理など、業務機能を伴うサイトにしたい | デジタル化・AI導入補助金2026 |
| ECサイトを立ち上げ、受注から在庫管理まで効率化したい | デジタル化・AI導入補助金2026 |
| 新製品開発や設備投資と一体で進めたい | ものづくり補助金の該当枠・経費を確認(第23次受付は終了) |
| 所在地に自治体の制度があるか確認したい | 自治体の公式公募要領で確認。手続きの簡易さは一律に判断できない |
| 採択の可否にかかわらず、時期を動かせない | 補助金を使わず自己資金で進める |
最後の行が重要です。
補助金は採択されるとは限りません。展示会や店舗オープンに合わせて公開日が決まっているなら、補助金の結果を待つことでスケジュール全体が破綻するリスクがあります。
採択や入金を前提にせず、自己資金で進める場合の予算・公開日も検討してください。交付決定前に契約・発注すると、あとから対象にできない点にも注意が必要です。
申請から入金までの流れ
| ステップ | やること | 時期の確認先・注意 |
|---|---|---|
| 1. 制度の確認 | 公募要領を読み、対象要件と締切を確認 | 各回の公募要領 |
| 2. 相談・準備 | 商工会等へ相談、制作会社から見積もりを取得 | 窓口の受付日・必要書類による |
| 3. 申請書の作成 | 経営計画・補助事業計画を作成、必要書類を揃える | 窓口の受付日・必要書類による |
| 4. 申請 | 交付申請書を含む必要書類を電子申請システムから提出 | — |
| 5. 審査・採択発表 | 結果を待つ | 各回の結果発表予定を確認 |
| 6. 見積書等の提出・交付決定 | ここまで発注してはいけない | 窓口の受付日・必要書類による |
| 7. 制作・支払い | 発注、制作、公開、支払いまで完了させる | 交付決定後、事業実施期限内 |
| 8. 実績報告 | 証拠書類を揃えて提出 | 各制度の報告期限内 |
| 9. 確定検査・入金 | 審査を経て補助金が振り込まれる | 審査・額確定・請求後。入金日は個別確認 |
表は持続化補助金の基本的な順序です。AI導入補助金では、交付申請→交付決定→契約・発注・導入・支払い→実績報告→額確定・交付となります。各制度の期限を確認し、一律に「1年前後」とは見込まないでください。
「今すぐサイトが必要」という状況には向きません。
なお、ステップ2で取得する見積もりは、そのまま申請書類の根拠になります。
「一式」ではなく工程ごとの内訳が記載された見積書をもらってください。
取得の進め方は相見積もりの取り方と見積書の読み方にまとめています。
事業計画を整理するための考え方
対象者・事業・経費の要件と、各公募要領に示された審査項目を確認してください。
技術的に凝ったサイトを作ることではなく、その投資が事業にどう効くのかを説明できているかが評価されます。
1. 「ホームページを作る」ではなく「課題をどう解決するか」を書く
以下は課題と取り組みを具体化するための架空の記入例です。実際の申請では、自社の実績と根拠に置き換えてください。採択を保証する表現ではありません。
| 弱い書き方 | 強い書き方 |
|---|---|
| ホームページが古いので新しくしたい | 問い合わせの8割が電話で、営業時間外の機会損失が月◯件発生している。フォームと料金表を整備し、時間外の受注機会を確保する |
| 集客を強化したい | 現在の新規顧客の9割が紹介で、商圏が限定されている。地域名+サービス名での検索流入を確保し、新規商圏を開拓する |
2. 数字を入れる
現状の売上、問い合わせ件数、客単価、そして施策後の目標値。
根拠のある数字が入っているかどうかで、計画の説得力は大きく変わります。目標は達成可能な範囲で設定してください。
実績報告で説明を求められます。
3. 制作会社に丸投げしない
支援を受ける場合でも、自社の課題・実績・目標と申請内容の根拠を確認してください。提出内容を自社で把握できる状態にしておきましょう。
よくある失敗
- 交付決定前に発注した:持続化補助金・AI導入補助金では対象外になります
- 様式4の発行締切に間に合わなかった:申請自体ができません
- 事業実施期間内に支払いが終わらなかった:公開が遅れると連鎖して間に合わなくなります
- ウェブサイト関連費だけで申請した:持続化補助金では単独申請が認められていません
- 補助金ありきで予算を組んだ:不採択時に計画が破綻します
- 証拠書類が揃わなかった:見積書・契約書・請求書・振込控えは最初から保管してください
よくある質問
Q. 補助金と助成金は何が違いますか?
名称だけでは、受給できるか、審査があるかは判断できません。各制度の公募要領で対象者と審査・交付条件を確認してください。
本記事で確認した持続化補助金・AI導入補助金は、申請しても採択・交付が保証される制度ではありません。
Q. 個人事業主でも申請できますか?
小規模事業者持続化補助金は、要件を満たせば個人事業主も対象です。
開業届を提出しているか、確定申告の実績があるかなどが確認されます。
制度ごとに要件が異なるため、公募要領で対象者の定義を確認してください。
Q. サーバー代やドメイン代も対象になりますか?
制度と公募回によって扱いが異なります。
経費区分や契約期間、支払い時期の条件を確認してください。AI導入補助金の通常枠ではクラウド利用料は最大2年分という扱いがあり、すべての制度を同じ期間で判断できません。
公募要領の「補助対象経費」の項を確認してください。
Q. 補助金は課税対象ですか?
税務上の扱いは、補助金の公募要領による対象経費の判断とは別に確認が必要です。この記事では個別の課税判断は行いません。
受給時の経理処理や申告の扱いは、顧問税理士等に確認してください。
Q. 申請代行を有償で頼めますか?
計画の相談、申請書類の作成、システムへの入力・提出は、別の業務です。依頼したい作業を分け、制度が定める申請者本人の手続きや、受任者の資格・業務範囲を確認してください。
支援費用と業務範囲は依頼前に確認してください。AI導入補助金の通常枠では交付申請・実績報告の代行申請費は対象外です。成功報酬の一律の相場は示しません。「必ず採択される」という説明にも注意してください。
採択を保証できる制度ではありません。
まとめ
- 補助金は後払い。
制作費はいったん全額立て替える - 交付決定前の発注は対象外。採択通知=発注可ではない
- 持続化補助金は対象経費とサイト関連費上限、AI導入補助金2026は登録ITツール・枠別要件を確認
- IT導入補助金は2026年度からデジタル化・AI導入補助金に名称変更
- 自治体制度は個別の公式公募要領で確認。競争率や受付状況を一律に判断しない
- 採択されなくても進められる計画を立てておく
制度の要件は毎年変わります。
申請前には必ず各制度の公式サイトで最新の公募要領を確認し、不明点は商工会・商工会議所の窓口に相談してください。
費用の全体像を把握したい方はホームページ制作費用の相場を、依頼先の選び方はホームページ制作会社の選び方をあわせてご覧ください。

