最終更新:2026年8月
ホームページ制作には補助金が使えます。
ただし、「ホームページを作りたいので補助金をください」という申請は通りません。ここを誤解したまま動き出すと、時間だけを消費します。
補助金は「販路開拓」や「業務のデジタル化」といった事業上の取り組みを支援する制度で、ホームページはその手段のひとつという位置づけです。
この構造を理解すれば、どの制度を選び、どう申請書を書くべきかが見えてきます。
この記事では、2026年8月時点の制度を整理したうえで、申請前に必ず知っておくべき5つの前提から解説します。
この記事で分かること
- 補助金申請で失敗しないための5つの前提(後払い・交付決定前の発注など)
- ホームページ制作に使える主な補助金と、その使い分け
- 2026年度からIT導入補助金がどう変わったか
- 申請から入金までの流れと、実務上の注意点
※本記事の情報は2026年8月時点のものです。補助金の要件・補助率・公募期間は年度および公募回ごとに変更されます。
申請前には必ず各制度の公式サイトで最新の公募要領をご確認ください。
申請前に知っておくべき5つの前提
制度の一覧を見る前に、ここを押さえてください。
補助金で失敗する原因のほとんどは、制度選びではなくこの5点の誤解です。
前提1|補助金は「後払い」
もっとも重要な前提です。
補助金は、事業を実施し、支払いを完了し、実績報告を提出して審査を受けたあとに入金されます。
つまり制作費は、いったん全額を自社で立て替える必要があります。
100万円のサイトを作って補助率2/3なら、まず100万円を支払い、後日およそ66万円が戻ってくるという流れです。
申請から入金まで半年から1年程度かかることも珍しくありません。
資金繰りの計画に必ず織り込んでください。
前提2|交付決定前に発注すると対象外になる
これで失格になるケースが本当に多くあります。
採択の通知と「交付決定」は別物です。
- 申請 → 採択発表 → 交付申請 → 交付決定 → 発注・契約 → 制作 → 支払い → 実績報告 → 入金
採択されたからといって、すぐに契約してはいけません。
交付決定通知を受け取る前に発注・契約・着手した経費は、原則として補助対象外になります。「採択されたので早速お願いします」と制作会社に発注してしまい、あとで対象外と判明する——これは実際に起きる事故です。
前提3|ホームページ制作費「だけ」では申請できない制度が多い
小規模事業者持続化補助金では、ウェブサイト関連費に上限が設けられており、ウェブサイト関連費のみでの申請はできません。チラシ制作、展示会出展、店舗改装といった他の販路開拓の取り組みと組み合わせる必要があります。
この上限の割合・金額は公募回によって異なるため、必ず最新の公募要領で確認してください。
前提4|事業実施期間内に「支払いまで」完了させる必要がある
交付決定から実績報告までの期間内に、制作を完了し、請求を受け、支払いまで済ませなければなりません。公開が間に合わなかった、支払いが翌月にずれた——それだけで対象外になり得ます。
ホームページ制作は10ページ規模で2〜4か月かかります。
実施期間から逆算してスケジュールを組んでください。
制作の各工程にかかる期間はホームページ制作の流れと期間の目安にまとめています。
前提5|採択されても、そのあとに事務作業が続く
実績報告では、見積書・発注書・契約書・請求書・振込控え・成果物の証拠(サイトのスクリーンショットなど)を揃えて提出します。
制度によっては、事業終了後も数年にわたり事業状況の報告義務が続きます。
書類は最初から補助金申請を前提に揃えてください。制作会社にもその旨を伝えておけば、必要な書式で発行してもらえます。
ホームページ制作に使える主な補助金
小規模事業者持続化補助金<一般型・通常枠>
小規模事業者にとって、もっとも現実的な選択肢です。
販路開拓の取り組みを支援する制度で、ホームページ制作もその一環として計上できます。
| 項目 | 第20回公募の内容(2026年8月時点) |
|---|---|
| 補助上限額 | 50万円 |
| 補助率 | 2/3(賃金引上げ特例のうち赤字事業者は3/4) |
| インボイス特例 | 要件を満たすと上限に+50万円 |
| 賃金引上げ特例 | 要件を満たすと上限に+150万円 |
| 両特例を満たす場合 | 上限に+200万円 |
| 申請受付開始 | 2026年11月5日(木) |
| 事業支援計画書(様式4)発行受付締切 | 2026年12月4日(金) |
| 申請受付締切 | 2026年12月15日(火)17:00 |
注意したいのが「様式4」の発行締切です。
申請には商工会・商工会議所が発行する事業支援計画書が必要で、その発行受付は申請締切より早く締め切られます。
ここを見落とすと、申請そのものができません。
相談窓口は、事業所が属する地域の商工会・商工会議所です。
計画書の作成についても相談に乗ってもらえるので、締切の1〜2か月前には相談を始めてください。締切直前は窓口が混み合います。
対象:常時使用する従業員数が一定以下の小規模事業者(業種により基準が異なります)。
個人事業主も対象です。
デジタル化・AI導入補助金2026(旧・IT導入補助金)
2026年度から、IT導入補助金は「デジタル化・AI導入補助金」に名称と制度が変わりました。正式名称は「中小企業デジタル化・AI導入支援事業費補助金」です。
以前の名称で検索している方は、この点にご注意ください。
| 項目 | 内容(2026年8月時点) |
|---|---|
| 補助額 | 1者あたり最大450万円 |
| 補助率 | 枠と事業者規模により1/2〜4/5 (ソフトウェア購入費・導入関連費は2/3以内、50万円以下の部分は3/4以内、小規模事業者は4/5以内) |
| 申請枠 | 通常枠/インボイス枠(インボイス対応類型・電子取引類型)/セキュリティ対策推進枠/複数者連携デジタル化・AI導入枠 |
| 公式サイト | デジタル化・AI導入補助金2026ポータルサイト |
ここで重要な注意点があります。
この制度は、ホームページ制作費を広く補助する制度ではありません。
対象となるのは、事務局に登録された「ITツール」を導入し、販売管理・予約管理・在庫管理・会計といった業務プロセスを改善する取り組みです。
単なる会社紹介のコーポレートサイトは、原則として対象になりません。
逆に言えば、予約システム、顧客管理、ECカートといった業務機能を伴うサイトであれば、この制度が有力な選択肢になります。
金額の規模も持続化補助金より大きくなります。
申請には、事務局に登録された「IT導入支援事業者」との連携が必須です。
制作会社がこの登録事業者かどうかを、依頼前に必ず確認してください。登録がなければ、その会社経由では申請できません。
ものづくり補助金
革新的な製品・サービス開発や生産プロセスの改善を支援する制度です。
補助額は大きいものの、ホームページ単体では対象になりません。新製品の開発や設備投資と一体の事業計画のなかで、その一部としてWebサイトを位置づける場合に検討する制度です。
事業計画の要求水準が高く、認定支援機関のサポートを受けながら準備するのが一般的です。
ホームページ制作を主目的とするなら、ほかの制度を検討してください。
自治体独自の補助金・助成金
見落とされがちですが、実は狙い目です。都道府県や市区町村が独自に設けている補助金には、次のような特徴があります。
- 補助額は10万〜100万円程度と国の制度より小さいが、競争率が低い
- ホームページ制作を明示的に対象としている制度が多い
- 申請書類が国の制度より簡易なことが多い
- 予算枠に達し次第終了となるため、年度の早い時期に動くほど有利
探し方は、「(自治体名) ホームページ制作 補助金」で検索するのが最も早い方法です。
あわせて、商工会議所や地域の産業支援センターに問い合わせると、公募中の制度を教えてもらえます。
また、地域の制作会社は自治体の補助金制度に詳しいことが多いという利点があります。
申請支援の実績がある会社なら、書類作成の負担も軽くなります。
お住まいの地域で候補を探す場合は、都道府県別の制作会社まとめから探してみてください。
どの制度を選ぶべきか
| あなたの状況 | 検討すべき制度 |
|---|---|
| 従業員数の少ない小規模事業者で、販路開拓としてサイトを作りたい | 小規模事業者持続化補助金 |
| 予約システムや顧客管理など、業務機能を伴うサイトにしたい | デジタル化・AI導入補助金2026 |
| ECサイトを立ち上げ、受注から在庫管理まで効率化したい | デジタル化・AI導入補助金2026 |
| 新製品開発や設備投資と一体で進めたい | ものづくり補助金 |
| とにかく手続きの負担を減らしたい/小規模な制作 | 自治体独自の補助金 |
| 採択の可否にかかわらず、時期を動かせない | 補助金を使わず自己資金で進める |
最後の行が重要です。
補助金は採択されるとは限りません。展示会や店舗オープンに合わせて公開日が決まっているなら、補助金の結果を待つことでスケジュール全体が破綻するリスクがあります。
「採択されたら使う、されなければ自己資金で予定どおり進める」という前提で計画を立ててください。
申請から入金までの流れ
| ステップ | やること | 期間の目安 |
|---|---|---|
| 1. 制度の確認 | 公募要領を読み、対象要件と締切を確認 | 1〜2週間 |
| 2. 相談・準備 | 商工会等へ相談、制作会社から見積もりを取得 | 2〜4週間 |
| 3. 申請書の作成 | 経営計画・補助事業計画を作成、必要書類を揃える | 2〜4週間 |
| 4. 申請 | 電子申請システムから提出 | — |
| 5. 審査・採択発表 | 結果を待つ | 2〜3か月 |
| 6. 交付申請・交付決定 | ここまで発注してはいけない | 2〜4週間 |
| 7. 制作・支払い | 発注、制作、公開、支払いまで完了させる | 2〜4か月 |
| 8. 実績報告 | 証拠書類を揃えて提出 | 1か月 |
| 9. 確定検査・入金 | 審査を経て補助金が振り込まれる | 1〜3か月 |
合計すると、申請準備の開始から入金まで1年前後かかります。
「今すぐサイトが必要」という状況には向きません。
なお、ステップ2で取得する見積もりは、そのまま申請書類の根拠になります。
「一式」ではなく工程ごとの内訳が記載された見積書をもらってください。
取得の進め方は相見積もりの取り方と見積書の読み方にまとめています。
採択率を上げるための考え方
審査は、提出された事業計画の内容で決まります。
技術的に凝ったサイトを作ることではなく、その投資が事業にどう効くのかを説明できているかが評価されます。
1. 「ホームページを作る」ではなく「課題をどう解決するか」を書く
審査員が見たいのは、現状の課題と、その解決手段としての妥当性です。
| 弱い書き方 | 強い書き方 |
|---|---|
| ホームページが古いので新しくしたい | 問い合わせの8割が電話で、営業時間外の機会損失が月◯件発生している。フォームと料金表を整備し、時間外の受注機会を確保する |
| 集客を強化したい | 現在の新規顧客の9割が紹介で、商圏が限定されている。地域名+サービス名での検索流入を確保し、新規商圏を開拓する |
2. 数字を入れる
現状の売上、問い合わせ件数、客単価、そして施策後の目標値。
根拠のある数字が入っているかどうかで、計画の説得力は大きく変わります。目標は達成可能な範囲で設定してください。
実績報告で説明を求められます。
3. 制作会社に丸投げしない
申請書の作成を支援してくれる制作会社もありますが、事業の課題と目標を書けるのは経営者だけです。制作会社が代筆した申請書は、どうしても内容が一般論になり、審査で見抜かれます。
よくある失敗
- 交付決定前に発注した:対象外になります。
もっとも多い失敗です - 様式4の発行締切に間に合わなかった:申請自体ができません
- 事業実施期間内に支払いが終わらなかった:公開が遅れると連鎖して間に合わなくなります
- ウェブサイト関連費だけで申請した:持続化補助金では単独申請が認められていません
- 補助金ありきで予算を組んだ:不採択時に計画が破綻します
- 証拠書類が揃わなかった:見積書・契約書・請求書・振込控えは最初から保管してください
よくある質問
Q. 補助金と助成金は何が違いますか?
一般に、補助金は予算枠があり審査によって採択者が決まる制度、助成金は要件を満たせば原則受給できる制度を指します。
ホームページ制作で使えるものの多くは補助金にあたり、申請しても採択されない可能性があります。
Q. 個人事業主でも申請できますか?
小規模事業者持続化補助金は、要件を満たせば個人事業主も対象です。
開業届を提出しているか、確定申告の実績があるかなどが確認されます。
制度ごとに要件が異なるため、公募要領で対象者の定義を確認してください。
Q. サーバー代やドメイン代も対象になりますか?
制度と公募回によって扱いが異なります。
対象になる場合でも、補助事業期間中の費用に限られるのが一般的で、翌年度以降の更新料は対象外です。
公募要領の「補助対象経費」の項を確認してください。
Q. 補助金は課税対象ですか?
受け取った補助金は原則として収益に計上され、法人税・所得税の課税対象となります。
圧縮記帳などの取り扱いもあるため、顧問税理士にご確認ください。
Q. 申請代行を有償で頼めますか?
コンサルタントや行政書士に支援を依頼することは可能です。
ただし成功報酬の相場は補助額の10〜20%程度で、その費用自体は補助対象になりません。また「必ず採択される」と謳う業者には注意してください。
採択を保証できる制度ではありません。
まとめ
- 補助金は後払い。
制作費はいったん全額立て替える - 交付決定前の発注は対象外。採択通知=発注可ではない
- 小規模事業者なら持続化補助金、業務機能を伴うサイトならデジタル化・AI導入補助金2026
- IT導入補助金は2026年度からデジタル化・AI導入補助金に名称変更
- 自治体独自の補助金は競争率が低く狙い目。年度の早い時期に動く
- 採択されなくても進められる計画を立てておく
制度の要件は毎年変わります。
申請前には必ず各制度の公式サイトで最新の公募要領を確認し、不明点は商工会・商工会議所の窓口に相談してください。
費用の全体像を把握したい方はホームページ制作費用の相場を、依頼先の選び方はホームページ制作会社の選び方をあわせてご覧ください。

