3社から見積もりを取ったのに、金額がバラバラで比べられない。
よく聞く話です。
原因のほとんどは制作会社側にありません。
各社に渡した条件が揃っていないことが原因です。
A社は10ページ・原稿支給の前提で60万円、B社は20ページ・原稿制作込みで150万円。
この2つを並べて「B社は高い」と判断してしまうのが、相見積もりで最も多い失敗です。
この記事では、そのまま使える依頼文のテンプレートと比較表の作り方を示しながら、比較できる見積もりを取るための実務手順を解説します。
この記事で分かること
- 各社に同じ条件を渡すための依頼文テンプレート
- 見積書のどこを見て、何を質問するか
- 金額以外も含めて比べるための比較表の作り方
- 値引き交渉の是非と、角の立たない断り方
相見積もりは3社が適正
まず社数です。
3社、多くても4社に留めてください。
5社以上に声をかけると、次の問題が起きます。
- 各社へのヒアリング対応だけで発注側の工数が膨らみ、判断が雑になる
- 提案が横並びに見えてきて、結局は金額だけで選んでしまう
- 受注確度が低いと判断され、提案の熱量が下がる(これが最も損失が大きい)
最後の点は見落とされがちです。
制作会社にとって提案の作成は無償の先行投資です。
「10社に声をかけています」と伝えれば、受注確率は10%。
その前提で割ける工数は限られます。
社数を絞ることは、提案の質を上げるための投資でもあります。
候補の集め方や見極め方はホームページ制作会社の選び方にまとめています。
見積もりを依頼する前に決めておく6項目
依頼文を書く前に、社内で次の6項目を確定させます。
ここが決まっていないと、何を書いても各社の解釈がずれます。
| 項目 | 決め方 |
|---|---|
| 目的 | 問い合わせ獲得/採用/信頼の担保。複数ある場合は優先順位をつける |
| 予算 | 初期費用の上限と、月額でかけられる金額を分ける |
| 公開希望時期 | 動かせない期日があれば、その理由も添える |
| ページ構成 | ページ数ではなく「型が違うページ」が何種類あるかで伝える |
| 更新体制 | 公開後、誰がどの部分をどの頻度で更新するか |
| 素材の準備状況 | 原稿と写真を自社で用意できるか、依頼したいか |
4つ目の「型が違うページ」という考え方は重要です。
スタッフ紹介が10人分あっても、型が同じなら工数は1.5ページ分程度。
逆に会社概要・サービス・料金・採用はすべて型が違い、1ページずつ工数が発生します。
「20ページ」とだけ伝えると、各社がバラバラに想像します。
「トップ+型違い6種類+実績一覧30件」と伝えれば、見積もりの精度が一気に上がります。
そのまま使える|見積もり依頼文テンプレート
以下をコピーして、自社の情報に置き換えて各社へ同じ内容で送ってください。
件名:ホームページ制作のお見積もりのご相談(株式会社〇〇) 〇〇株式会社 ご担当者様 はじめてご連絡いたします。 株式会社〇〇の〇〇と申します。 自社ホームページの新規制作(またはリニューアル)を検討しており、 お見積もりをご相談させていただきたくご連絡いたしました。 ■ 会社概要 ・会社名:株式会社〇〇 ・事業内容:〇〇 ・所在地:〇〇県〇〇市 ・従業員数:〇名 ・商圏:〇〇県内 / 全国 / BtoB / BtoC ■ 現状 ・新規制作 / リニューアル(現サイト:https://example.com/) ・現在の課題:〇〇(例:問い合わせが月1件以下、スマホで見づらい) ■ 目的(優先順位順) 1. 〇〇(例:新規問い合わせの獲得) 2. 〇〇(例:採用応募の増加) ■ ご相談内容 ・想定ページ構成:トップ+型違い〇種類(会社概要/サービス/料金/実績/お問い合わせ) +一覧ページ(実績〇件、お知らせ) ・必要な機能:お問い合わせフォーム/お知らせの自社更新/〇〇 ・デザインの方向性:参考サイト〇件を添付いたします ・原稿:自社で用意 / ご相談したい ・写真:自社で用意 / 撮影をご相談したい ■ 予算 ・初期費用:〇〇万円程度(上限〇〇万円) ・月額(保守含む):〇〇円程度 ■ スケジュール ・公開希望:〇〇年〇月(理由:〇〇) ■ お願いしたいこと ・お見積もりは「一式」ではなく、工程ごとの内訳をご記載ください ・お見積もりに含まれない作業がありましたら、あわせてご教示ください ・公開後の保守内容と月額費用もご提示ください お忙しいところ恐れ入りますが、 〇月〇日までにご回答いただけますと幸いです。 どうぞよろしくお願いいたします。
最後の「お願いしたいこと」の3行が要点です。内訳の記載と、見積もり範囲外の明示を最初に求めておくだけで、後から発生する追加費用の大半は事前に把握できます。
なお、回答期限は2週間程度を見てください。
見積もりの作成には各社それなりの工数がかかります。
「明日までに」という依頼は、提案の質を落とすだけです。
予算は伝えるべきか
「予算を言うと、その金額いっぱいの見積もりが来るのでは」という懸念はよく聞きます。
結論としては伝えたほうが得です。
予算を伝えないと、制作会社は無難な標準構成で見積もるしかありません。
その金額が予算とかけ離れていれば、そこで検討が止まります。
上限を伝えれば、各社は「その範囲で最大の効果を出す構成」を提案できます。
金額を釣り上げられる心配については、内訳を出してもらえば判断できます。だからこそ、依頼文で内訳の記載を求めておくことが効きます。
予算感が分からない場合は、ホームページ制作費用の相場で規模別の目安を確認してから設定してください。
見積書で確認する8項目
見積書が届いたら、合計額ではなく内訳の粒度を見ます。
「ホームページ制作一式 800,000円」としか書かれていない見積書は、それだけで検討対象から外して構いません。
| 項目 | 確認するポイント |
|---|---|
| ディレクション費 | 総額の10〜20%が目安。極端に低いと管理が手薄になりやすい |
| サイト設計費 | この工程がない見積もりは、既存構成をなぞるだけの可能性 |
| デザイン費 | 何案出るか、修正は何回まで無償か |
| コーディング費 | スマホ対応が別費用になっていないか |
| CMS構築費 | 自社で更新できる範囲はどこまでか |
| 原稿・撮影費 | 「お客様支給」なら自社の工数が発生する |
| 初期設定費 | 解析ツールの導入やSSL設定が含まれるか |
| 保守費 | 月額か年額か、最低契約期間と解約予告期間はあるか |
必ずする質問:「この見積もりの範囲外になる作業は何ですか」
これが最も効果のある一言です。
制作会社は見積書に「含まれるもの」を書きますが、「含まれないもの」まで書いてくれるとは限りません。
この質問で、次のような項目が明らかになります。
- デザイン修正の3回目以降(1回あたり〇万円)
- ページの追加(1ページあたり〇万円)
- 原稿の大幅な変更に伴う再レイアウト
- 公開後のCMS操作サポート(月〇件まで無償、超過分は有償)
- サーバーの移転作業、メールアドレスの設定
回答は口頭ではなくメールで受け取ってください。質問を嫌がらずに文書で回答してくれるかどうか自体が、その会社を判断する材料になります。
比較表の作り方
3社の見積書をそのまま並べても比べられません。
次の形に並べ替えてください。
| 比較項目 | A社 | B社 | C社 |
|---|---|---|---|
| 初期費用(総額) | |||
| うちディレクション費 | |||
| うち設計費 | |||
| デザインパターン数 | |||
| 原稿:自社/制作会社 | |||
| 写真撮影の有無 | |||
| CMSの更新可能範囲 | |||
| 無償の修正回数 | |||
| 月額保守費 | |||
| 保守の範囲(更新・バックアップ・障害対応) | |||
| 制作期間 | |||
| 5年間の総額 | |||
| サーバー・ドメインの名義 | |||
| 担当者の印象・レスポンス速度 |
下から3つが重要です。
5年間の総額で見る
初期費用が安い提案が、5年後も安いとは限りません。
CMSを削って初期費用を下げた提案は、更新のたびに費用が発生します。
年12回更新するなら、3〜5年でCMS構築費を上回る計算です。
「初期費用+保守費×60か月+想定する更新依頼の費用」を計算して並べてください。
順位が入れ替わることがよくあります。
サーバー・ドメインの名義
制作会社名義で契約されると、将来ほかの会社へ乗り換えたいときにサイトもメールも動かせなくなります。
金額に関係なく、ここは自社名義であることを条件にしてください。理由はなぜサーバー・ドメインは「お客様名義」で契約すべきかで解説しています。
レスポンス速度
数値化しにくい項目ですが、実務上は効いてきます。
見積もり段階のレスポンスが遅い会社は、制作が始まってからも遅いと考えて差し支えありません。
質問への回答が何営業日で返ってきたかを記録しておいてください。
値引き交渉はすべきか
「他社は〇〇万円でした。
同じ金額になりませんか」という交渉は、あまり得策ではありません。
応じてもらえたとしても、削られるのは工数——つまり設計やチェックの時間です。
品質が下がる形で辻褄が合わされます。
金額を下げたいなら、値引きではなく「範囲の調整」を相談してください。
| 調整の仕方 | 効果 |
|---|---|
| デザインの「型」を減らす | 大きい。デザイン費とコーディング費に直接効く |
| 公開時のページ数を絞り、後から追加する | 大きい。初期投資を分散できる |
| フルオリジナルではなく有料テーマベースにする | 大きい。中小企業サイトでは現実的な選択 |
| 一部の原稿を自社で用意する | 中程度。ただし社内工数と要相談 |
| 公開時期を後ろ倒しにする | 中程度。特急料金を避けられる |
「この予算に収めたいのですが、どこを調整すればよいですか」と聞くのが最も建設的です。
その回答の内容自体が、その会社の実力を測る材料にもなります。
また、条件を満たせばIT導入補助金などの対象になる場合があります。
詳しくはホームページ作成に使える補助金をご覧ください。
角の立たない断り方
相見積もりを取る以上、断る相手が出ます。
放置せず、必ず連絡を入れてください。
将来別の案件で相談する可能性もあります。
〇〇株式会社 〇〇様 お世話になっております。株式会社〇〇の〇〇です。 このたびは、ご多用のなか丁寧なご提案とお見積もりを いただき、誠にありがとうございました。 社内で検討を重ねました結果、 今回は〇〇(例:公開時期/運用体制との相性)を重視し、 他社様にお願いすることといたしました。 ご期待に沿えず申し訳ございません。 またの機会がございましたら、ぜひご相談させてください。 取り急ぎ、御礼かたがたご連絡申し上げます。
理由は一言で構いません。「金額が高かったから」とは書かないほうが無難です。次に相談したいときに、先方が価格前提で身構えてしまいます。
よくある質問
Q. 相見積もりであることは伝えるべきですか?
伝えたほうが誠実で、実務上も問題ありません。
ただし社数は「3社に相談しています」程度に留め、他社名は出さないのが礼儀です。
「相見積もりは取っていません」と嘘をつくと、後で気まずくなります。
Q. 見積もりは無料ですか?
ヒアリングと概算見積もりまでは無料の会社がほとんどです。
ただしデザイン案の作成やサイト設計まで踏み込む場合は有償となることがあります。
「どこまでが無償ですか」と最初に確認しておいてください。
Q. 見積書の有効期限が過ぎてしまいました
再発行を依頼すれば通常は対応してもらえます。
ただし人件費や外注費の変動で金額が変わることもあります。
有効期限は1〜3か月が一般的なので、社内稟議の期間を逆算して見積もりを取る時期を決めてください。
Q. 提案内容を他社に見せてもいいですか?
やめてください。
提案書やデザイン案は制作会社の知的財産です。
他社に見せて「これと同じものをもっと安く」と依頼するのは、業界内で確実に評判を落とします。
比較は自社内で行い、外に出さないのが原則です。
Q. 契約前に確認しておくことは何ですか?
検収の定義、無償修正の回数、追加費用が発生する条件、納品データの範囲、解約条件の5点です。
金額の大小にかかわらず業務委託契約書を交わし、口頭ではなく書面に残してください。
まとめ
- 相見積もりは3社。
全社に同じ条件を渡す - ページ数ではなく「型が違うページが何種類あるか」で伝える
- 依頼文で内訳の記載と、範囲外作業の明示を最初に求める
- 比較は5年間の総額とサーバー・ドメインの名義まで含めて行う
- 値引き交渉ではなく範囲の調整を相談する
依頼先が決まったら、次は制作の進行です。
公開までに何が起きるかはホームページ制作の流れと期間の目安にまとめています。
発注先と見積もりに関する記事
この記事は「相見積もりの依頼文と、比較表の作り方」を扱っています。
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