WordPressの更新ボタンを押したら、サイトが真っ白になった。あるいはサーバー会社からPHPのバージョンアップを促され、実行したらレイアウトが崩れた——よくある事故です。
この経験があると、「もう更新しないでおこう」と考えがちです。しかし更新を止めることは、改ざんリスクを引き受けることと同義です。正しい手順を知れば、事故は防げます。
この記事で分かること
- 真っ白な画面が出たときの、その場での対処
- 管理画面にすら入れないときの復旧方法
- PHPバージョンアップで壊れる典型パターン
- 事故を起こさない更新手順
まず落ち着いて|壊れ方は3種類
| 症状 | 原因として多いもの | 深刻度 |
|---|---|---|
| 真っ白な画面(何も表示されない) | PHPの致命的エラー。プラグインやテーマの非互換 | 高 |
| レイアウト崩れ(内容は出る) | CSSの読み込み失敗、テーマ側の仕様変更 | 中 |
| 一部機能が動かない | 特定プラグインの非互換 | 中 |
データが消えたわけではありません。記事も画像もデータベースに残っています。表示させる仕組みが止まっているだけなので、ほとんどの場合は復旧できます。
真っ白な画面が出たときの対処
STEP1|管理画面に入れるか確認する
https://ドメイン/wp-admin/ にアクセスしてみてください。
- 入れる場合:直前に更新したプラグインを無効化すれば、多くは解決します
- 入れない場合:STEP2へ
STEP2|FTPでプラグインを止める
管理画面に入れなくても、ファイル操作でプラグインを無効化できます。
FTPソフトかサーバーのファイルマネージャーで /wp-content/plugins/ を開き、フォルダ名を変更するだけです。
/wp-content/plugins/ → /wp-content/plugins-off/
これで全プラグインが読み込まれなくなります。サイトが表示されたら、原因はプラグインです。フォルダ名を戻したうえで、プラグインを1つずつ有効化して、どれが原因かを特定します。
※この操作でプラグインの設定が消えることはありません。
STEP3|テーマを疑う
プラグインを全部止めても直らない場合、テーマが原因の可能性があります。同様に /wp-content/themes/ の中で、使用中のテーマのフォルダ名を変更してください。
WordPressは標準テーマに自動で切り替わります。デザインは崩れますが、サイトは表示されるようになります。これで原因の切り分けができます。
STEP4|エラー内容を表示させる
原因を特定したいときは、エラーを画面に出す設定にします。wp-config.php の該当箇所を変更してください。
define( 'WP_DEBUG', true ); define( 'WP_DEBUG_LOG', true ); define( 'WP_DEBUG_DISPLAY', false );
これで /wp-content/debug.log にエラーが記録されます。ファイル名と行番号が分かるので、原因の特定が一気に進みます。
調査が終わったら必ず false に戻してください。エラー内容を訪問者に見せるのは、セキュリティ上望ましくありません。
PHPバージョンアップで起きること
サーバー会社から「古いPHPのサポートが終了します」という案内が来て、バージョンを上げたら壊れた——というケースです。
| 壊れる原因 | 内容 |
|---|---|
| 古いプラグインが対応していない | 数年間更新されていないプラグインは、新しいPHPで動かない |
| テーマの独自コードが古い書き方 | 特にオリジナルテーマや、制作会社の独自カスタマイズ |
| functions.phpへの追記 | 過去に追加したコードが非推奨の書き方になっている |
| 開発が終了したプラグイン | 配布終了しているものは、対応版が出ない |
PHPのバージョンは、サーバー管理画面から元に戻せます。壊れたらまず戻してください。そのうえで、対応できない原因を特定し、順に解決してから再挑戦します。
ただし戻したまま放置してはいけません。サポートが終了したPHPは、脆弱性が見つかっても修正されません。改ざんの温床になります。
事故を起こさない更新手順
| STEP | 作業 |
|---|---|
| 1 | バックアップを取る(ファイル+データベース) |
| 2 | 更新内容を確認する(大型アップデートか、修正のみか) |
| 3 | 可能ならテスト環境で先に試す |
| 4 | 本番で更新する(1つずつ、まとめて押さない) |
| 5 | 各更新後に、トップと主要ページの表示を確認 |
| 6 | フォーム送信をテストする |
| 7 | 問題があれば、直前の更新を戻す |
4が重要です。「すべて更新」ボタンで10個まとめて更新すると、どれが原因か分からなくなります。面倒でも1つずつ進めてください。
テスト環境(ステージング)を用意する
本番と同じ構成の複製環境で、先に更新を試す方法です。多くのレンタルサーバーが標準機能として提供しています。
ECサイトや会員機能があるサイト、業務に直結するサイトでは必須と考えてください。数百万円かけて作ったサイトを、確認なしの更新で止めるのは割に合いません。
自動更新はどう設定すべきか
| 対象 | 推奨設定 | 理由 |
|---|---|---|
| WordPress本体(マイナー更新) | 自動 | セキュリティ修正が中心。互換性の問題は起きにくい |
| WordPress本体(メジャー更新) | 手動 | 大きな変更を含む。確認してから |
| プラグイン | 手動(重要なものは自動) | 非互換が起きやすい |
| テーマ | 手動 | カスタマイズしている場合は特に注意 |
手動にする場合は、「月に1回、更新の日を決める」という運用にしてください。放置されるのが最も危険です。
更新を止めるという選択について
「一度壊れたので、もう更新しない」——気持ちは分かりますが、これは最も危険な選択です。
WordPressの更新には、機能追加だけでなく脆弱性の修正が含まれます。更新を止めるということは、公開されている脆弱性を放置することを意味します。
改ざんされた場合の復旧費用は15万〜50万円、それに加えて信用の毀損と機会損失が生じます。詳しくはWordPressが改ざんされたときの初動対応をご覧ください。
更新が怖いなら、止めるのではなく、安全に更新できる体制を作ってください。バックアップとテスト環境、この2つがあれば恐れる必要はありません。
よくある質問
Q. 更新したら、記事が全部消えたように見えます
ほぼ確実に消えていません。データベースに残っており、表示側の問題である場合がほとんどです。慌ててバックアップから戻す前に、プラグインとテーマの切り分けを行ってください。
Q. 原因のプラグインが特定できました。どうすればよいですか?
3つの選択肢があります。①開発元の対応を待つ ②代替プラグインに乗り換える ③その機能を諦める。長期間更新されていないプラグインの場合、待っても対応版は出ません。乗り換えを検討してください。
Q. カスタマイズ部分が更新で消えました
テーマ本体のファイルを直接編集していた場合、テーマ更新で上書きされます。これを防ぐのが「子テーマ」の仕組みです。カスタマイズは必ず子テーマ側に置いてください。すでに消えている場合は、バックアップから該当箇所を取り出します。
Q. どのくらいの頻度で更新すべきですか?
セキュリティ修正はできるだけ早く、それ以外は月1回を目安にしてください。重大な脆弱性が公表された場合は、即日対応が必要になることもあります。
Q. 自分で対応する自信がありません
保守契約を検討してください。月5,000〜3万円程度で、更新作業と不具合対応を任せられます。契約時に「更新後に表示が崩れた場合の修正が含まれるか」を必ず確認してください。ここが範囲外の契約は少なくありません。
まとめ
- 真っ白でもデータは消えていない。表示の仕組みが止まっているだけ
- 管理画面に入れなければ、FTPでpluginsフォルダ名を変更して切り分ける
- PHPのバージョンはサーバー管理画面から戻せる。ただし放置しない
- 更新はバックアップ→1つずつ→都度確認。まとめて押さない
- カスタマイズは子テーマに置く。本体を直接編集しない
- 更新を止めるのは最も危険な選択。安全に更新できる体制を作る
更新事故の多くは、バックアップと手順で防げます。怖いのは更新そのものではなく、備えのない更新です。

