ホームページの保守を解約して自社運用に戻せるかは、「管理権限を自分で持っているか」「月1回の作業を担当できる人がいるか」「壊れたときの連絡先があるか」の3つで決まります。
この3つがそろうなら戻せます。
1つでも欠けるなら、戻す前にそろえるか、保守の範囲を狭めて残すほうが安全です。
この記事では、戻せるかを確かめる8項目、戻したあとに自社でやる月1回の作業、戻さないほうがよい場合、解約の手順を順に説明します。
保守費用の相場と月額に含まれる作業はホームページ保守費用の相場で確認できます。
読者は発注する側の担当者を想定しています。
WordPress の操作そのものは、必要なところだけ触れます。
戻せるかを確かめる8項目
解約の前に、次の8項目を一つずつ確かめます。
「分からない」が2つ以上あるなら、まず保守会社に確認してから判断してください。
| 項目 | 確かめること | 無いときに起きること |
|---|---|---|
| 1. ドメインとサーバーの契約名義 | 契約者が自社か、保守会社か。更新日と支払い方法 | 名義が保守会社だと、解約と同時にサイトが止まることがある |
| 2. WordPress の管理者権限 | 自社のアカウントが「管理者」か。保守会社のアカウントを外せるか | 編集者権限だけだと、プラグインの更新や復元ができない |
| 3. バックアップの所在と復元手順 | どこに、何世代、ファイルとデータベースの両方があるか。復元を試したことがあるか | 壊れたときに戻せない。復元に別料金がかかる |
| 4. テーマ・プラグインのライセンス | 有料テーマや有料プラグインの契約者と更新料。保守会社の名義で契約していないか | 解約後に更新できず、セキュリティの穴が残る |
| 5. 更新の手順書 | お知らせの投稿、画像の差し替え、フォームの宛先変更を自社でやる手順があるか | 担当者が替わると誰も触れなくなる |
| 6. 計測と外部サービスのアカウント | Google アナリティクス・サーチコンソール・フォームの通知先・決済などの管理者が自社か | 数字が見られない。通知が保守会社に届き続ける |
| 7. 月1回の作業の担当者 | 更新・バックアップの確認・表示の確認を、月に1〜2時間できる人がいるか。不在時の代わりは | 更新が止まり、半年後に壊れて誰も気づかない |
| 8. 壊れたときの連絡先 | スポット対応してくれる会社か、サーバー会社のサポート窓口を決めてあるか | 復旧まで数日止まる。業務時間に直せない |
1と2は、解約の通知を出す前に名義と権限を自社へ移しておきます。
WordPress の権限の種類(管理者・編集者など)はWordPress 公式のユーザーの種類と権限で確かめられます。
受け取るものの一覧はWebサイトの引き継ぎチェックリスト、分からないときの調べ方はドメイン・サーバーの管理情報が分からないときの調査手順にあります。
戻したあとに自社でやる月1回の作業
保守会社がやっていた作業のうち、自社で続けないと壊れるものは次の6つです。
月に1回、1〜2時間を決めてまとめてやります。
| 作業 | やること | 自分で確かめる道具 |
|---|---|---|
| WordPress・テーマ・プラグインの更新 | 管理画面の更新を当てる。当てたあとにトップ・問い合わせ・主要ページの表示を見る | WordPressチェック |
| バックアップの確認 | 直近のバックアップが取れているか。年に1回は復元を試す | バックアップのプラグインか、サーバーの管理画面 |
| 問い合わせフォームのテスト | 自分で1件送り、届くか・自動返信が来るかを見る | メール認証チェック |
| セキュリティの確認 | 不審なユーザー・ファイル・改ざんが無いか。PHP とプラグインの版 | WordPressセキュリティ診断・PHPバージョン確認・改ざんチェック |
| 期限の確認 | ドメイン・サーバー・SSL 証明書の期限と自動更新の設定 | 期限チェック・SSLチェック |
| 表示と速度の確認 | スマートフォンでの表示崩れ、エラー、速度の悪化 | サイト健康診断・エラーチェック |
道具は当社が公開している無料のチェックツールで、URL を入れるだけで使えます。
更新を当てたあとに表示が崩れたら、直前のバックアップに戻してから原因を探します。
原因が分からないまま触り続けないでください。
バックアップで保存するもの(ファイルとデータベースの両方)はWordPress 公式のバックアップの解説にあります。
戻さないほうがよい場合
次のどれかに当たるなら、保守をやめずに範囲を見直すほうが、結果として安くつきます。
- 会員機能・決済・予約など、止まると売上や予約に直結する機能がある
- 独自開発のテーマやプラグインで、更新で壊れたときに直せる人が社内にいない
- 月1回の作業を続けられる担当者がいない、または1人しかいない
- 過去1年に改ざんや乗っ取りがあった
- 更新頻度が高く(週1回以上)、作業時間を社内で確保できない
逆に、月1回以下の更新で、会社案内が中心のサイトなら、戻しやすい部類です。
独自テーマで自社更新ができない状態なら、保守の問題ではなく作りの問題です。
WordPressなのに自社で更新できない原因を先に読んでください。
全部やめる前に、範囲を狭める選択肢
保守契約は「全部任せる」か「全部やめる」かの二択ではありません。
| 形 | 任せること | 自社でやること | 費用の目安(当社の場合) |
|---|---|---|---|
| いまのまま | 更新・バックアップ・不具合対応・分析と改善・軽微な修正 | お知らせなどの日常更新 | 月額 ¥11,000〜 |
| スポット対応だけ残す | 壊れたときの復旧、年に数回の改修 | 月1回の作業すべて | エラー・不具合対応 1時間 ¥5,000〜、改修は 1時間 ¥8,000〜 |
| 全部自社 | — | 月1回の作業と、壊れたときの対応先の確保 | 0円(担当者の時間は別) |
スポット対応だけ残す形は、月額は0円でも、壊れたときに頼める相手を先に決めておけるのが利点です。
当社の保守の中身は保守・運用改善のサービスページにあります。
他社でも、同じ区分で「月額に入るもの・入らないもの」を聞いてください。
解約の手順
- 契約書で通知期限(1〜3か月前が多い)と、解約時に受け取れるものを確かめる
- 上の8項目のうち、名義・権限・バックアップ・ライセンス・アカウントを自社へ移す
- 更新の手順書を受け取り、1回は自社で更新を当ててみる
- 解約の通知を出す。最終月に保守会社のアカウントを削除するか権限を下げる
- 解約後の最初の月に、月1回の作業を一通りやって、詰まる所を記録する
順番を逆にして、通知を先に出してから権限を頼むと、協力を得にくくなります。
よくある質問:保守を自社運用に戻すとき
保守をやめると、どのくらい安くなりますか?
月額ぶんは減りますが、担当者の時間(月1〜2時間)と、壊れたときのスポット費用が代わりにかかります。
年間で比べるなら、ホームページの維持費の計算の型を使ってください。
サーバー会社のサポートがあれば十分ですか?
足りません。
サーバー会社はサーバーの動作までで、WordPress の中身(テーマ・プラグイン・表示崩れ)は見ません。
保守会社がバックアップを渡してくれません
契約書に受け渡しの記載が無いと、渡す義務が無いことがあります。
解約の通知を出す前に、サーバーの管理画面から自社で取れるようにしておくのが確実です。
戻したあとで、また頼めますか?
頼めます。
ただし他社が作ったサイトの保守は、引き受ける前に調査が要ることが多く、調査費がかかる場合があります。
まとめ
戻せる条件は、管理権限・月1回の担当者・壊れたときの連絡先の3つです。
8項目を確かめ、名義と権限を移してから解約の通知を出してください。
売上に直結する機能があるサイトは、やめずにスポット対応だけ残す形も比べてください。
当社を含めて複数の会社に「月額に入るもの・入らないもの」を同じ区分で聞くと、範囲を狭めた見積もりも比べられます。

