小規模企業のWebサイトの運用体制は、「責任者」「更新担当」「確認者」「技術窓口」の4つの役割を決め、誰が何を更新するかの一覧と、契約や権限をまとめた管理台帳を用意すると回り始めます。
人数が少なければ1人が複数の役割を兼ねて構いませんが、役割の名前と担当者は書き出しておきます。
この記事は、自社サイトの更新が止まりがちな会社や、担当者の異動・退職に備えたい会社の担当者に向けたものです。
WordPressの権限の説明は、2026年10月15日にWordPressの公式ドキュメントで確認した内容に基づいています。
運用体制で決める4つの役割
| 役割 | 主な仕事 | 決めておく理由 |
|---|---|---|
| 責任者 | 掲載してよい内容の最終判断、予算、外注先との契約 | 判断する人がいないと、更新が止まるか、確認のないまま公開される |
| 更新担当 | お知らせ、実績、採用情報などの更新作業 | 作業する人が決まっていないと、誰も更新しなくなる |
| 確認者 | 公開前の内容・表記・画像の使用許可の確認 | 書いた本人は自分の誤りに気付きにくい |
| 技術窓口 | サーバー、ドメイン、WordPressの更新、不具合の対応 | 障害が起きたときに、連絡先を探すところから始めずに済む |
従業員が少ない会社では、社長が責任者と確認者を兼ねる形もよくあります。
ただし、更新担当と確認者は、できるだけ別の人にしておくのが安全です。
技術窓口は社内にいなくても構いませんが、「どの会社の誰に連絡するか」を決めます。4つの役割それぞれに担当者・代行者・連絡先を書き、担当者が不在のときも判断と作業が止まらないようにします。
何を誰が更新するかを一覧にする
サイトの中で更新が発生するものを書き出し、担当と確認者を割り当てます。
| 更新するもの | 更新のタイミング(例) | 担当 | 確認する人 |
|---|---|---|---|
| お知らせ・休業の案内 | 発生したとき | 更新担当 | 責任者(日付と期間) |
| 制作実績・導入事例 | 月に1回など | 更新担当 | 確認者(お客様の掲載許可) |
| 採用情報 | 募集の開始時と終了時 | 人事の担当者 | 責任者(給与などの条件) |
| 料金・サービス内容 | 変更したとき | 責任者 | 確認者 |
| 会社概要(住所・電話番号・代表者など) | 変更したとき | 責任者 | 確認者 |
| WordPress本体・テーマ・プラグイン | 更新通知・脆弱性情報を確認したとき。通常の点検日も決める | 技術窓口 | 更新担当(更新後の表示) |
一覧があると、担当者が休んだときや退職したときも、誰が引き継ぐかを決めやすくなります。
終了したキャンペーンや募集の終わった求人のように、古いまま残りやすい情報も、この一覧で見落としを防げます。
公開までの流れを決める
更新のたびに全員の承認を取ると、手間がかかって更新が止まります。
内容の重さによって、誰の確認が必要かを分けておきます。
- 更新担当が下書きを作る
- 確認者が内容、表記、画像や写真の使用許可を確かめる
- 料金、会社情報、契約や法律に関わる表記を変える場合は、責任者が公開してよいかを決める
- 公開した後、PCとスマートフォンで表示を確かめる
- いつ、誰が、何を変えたかを更新記録に残す
お知らせのような軽い更新は確認者まで、料金や会社情報は責任者まで、と決めておくと迷いません。
WordPressの権限で流れを支える
WordPressには、ユーザーごとにできることを分ける「権限グループ」があります(WordPress公式:Roles and Capabilities)。
| 権限グループ | できること | 向いている役割 |
|---|---|---|
| 管理者 | サイトのすべての設定、プラグインやテーマの管理、ユーザーの管理 | 技術窓口、責任者(最小限の人数に絞る) |
| 編集者 | ほかの人が書いた投稿や固定ページも編集・公開できる | 確認者 |
| 投稿者 | 自分の投稿を書いて公開できる | 公開まで任せる更新担当 |
| 寄稿者 | 自分の投稿を書けるが、公開はできない | 確認を必ず通したい更新担当 |
寄稿者が書いた投稿は「レビュー待ち」として送られ、編集者以上の人が公開します。
寄稿者は画像をアップロードできないため、画像を入れる作業は編集者か投稿者が担当します。
管理者の権限は、プラグインを入れたり設定を変えたりできるため、日々の更新だけをする人には付けないようにします。
アカウントは1人に1つ
1つのアカウントを複数の人で共有すると、誰が何を変えたのかが分からなくなります。
退職者が出るたびにパスワードを変えて全員に知らせ直す必要もあるため、1人に1つのアカウントを作ります。
契約と権限を管理台帳にまとめる
Webサイトは、ドメイン、サーバー、WordPress、計測ツールなど、いくつもの契約とアカウントで動いています。
それぞれの契約先と管理者を1つの表にまとめておくと、更新の期限切れや、担当者の退職による連絡不能を防げます。
| 項目 | 台帳に書くこと |
|---|---|
| ドメイン | 取得している会社、契約の名義、更新の期限 |
| サーバー | 契約している会社、名義、プラン、更新月 |
| SSL(https) | 自動で更新されるか、誰が更新するか |
| WordPressの管理者 | 管理者の権限を持っている人 |
| GA4・Search Console | 管理者の権限を持っている人 |
| 制作会社・保守会社 | 契約の範囲、連絡先、契約の更新月 |
台帳にはパスワードそのものを書かず、パスワード管理ツールなどの保管場所だけを書きます。
台帳が漏れたときに、そのままログインされるのを防ぐためです。
いまの契約先が分からない場合は、ドメイン・サーバーの管理情報が分からないときの調査手順から調べられます。
定期的に見ることを決める
| タイミング | 確認・対応すること |
|---|---|
| 脆弱性や重要な更新の通知が来たとき | 技術窓口が影響と対応期限を確認し、バックアップ・更新方法・動作確認を決める |
| 異動・退職・外注契約終了のとき | 権限を回収または変更し、記事や管理責任を後任へ引き継ぐ。共有していた認証情報も見直す |
| 料金・会社情報・契約条件が変わったとき | 該当ページと管理台帳を更新し、責任者が確認する |
| 毎月など、社内で決めた点検日 | フォーム送信・受信、バックアップ、更新記録、アクセス推移、未対応の更新通知を確認する |
| 3か月ごとなどの情報整理 | 終了した募集・キャンペーン、古い記事、使っていない機能を見直す |
| 契約更新前・年次の棚卸し | 契約条件・費用・連絡先・残っている権限を確認する。期限の通知先を確認し、更新日を台帳と予定表で管理する |
定期点検は、緊急対応を次の点検日まで待つという意味ではありません。WordPress公式のセキュリティ指針も更新の重要性を説明しています。通知を受ける人と、不在時の代行者を決めておきます。
問い合わせフォームは、壊れていても見た目では分からないため、実際に送って届くかを確かめます。
アクセスの見方は、GA4・Search Consoleの初期設定と見るべき指標で、月1回30分で確かめる方法を紹介しています。
証明書の期限切れで警告が出たときの対応は、SSL証明書が切れたときの対応と再発防止にまとめています。
外部に任せる範囲を決める
小さな会社で、技術窓口の仕事まで社内でこなすのは難しいことが多いです。
制作会社や保守会社に任せる場合は、何をどこまで対応してもらえるかを契約で確かめます。
確認する項目は、ホームページ保守契約のチェックリストとホームページ保守費用の相場で説明しています。
外部に任せる場合でも、管理台帳と、ドメイン・サーバー・WordPressの管理者の権限は、社内の人が持っておきます。
外注先と連絡が取れなくなったときに、サイトを誰も触れなくなるのを防ぐためです。
外注先を変えるときに受け取るものは、Webサイトの引き継ぎチェックリストで確認できます。
体制を決めたら確かめること
- 4つの役割に、担当者の名前が入っている
- 更新するものの一覧に、担当と確認する人が割り当てられている
- WordPressのアカウントが1人に1つで、権限が役割に合っている
- 管理台帳に、契約先・名義・期限・管理者が書かれている
- 毎月の確認を、誰がいつ行うかが決まっている
WordPressの更新や保守を外部に任せたい場合は、WordPressの保守・運用改善の内容もご確認ください。

