Webアクセシビリティ対応の実務|義務と努力義務の違い、費用をかけずにできること

サイト改善|Webアクセシビリティ対応の実務|義務と努力義務の違い、費用をかけずにできること

最終確認:2026年10月3日

Webアクセシビリティは、障害や利用環境にかかわらず、サイトの情報を読み、機能を操作できるようにする取り組みです。中小企業のサイトでも、料金が画像だけで読めない、問い合わせ欄に移動できない、といった不便を調べるところから始められます。

2024年4月1日に民間事業者にも義務化されたのは、障害者差別解消法の「合理的配慮の提供」です。事前にサイトを使いやすくする「環境の整備」と、個別の申し出への対応を分けて考え、困っている人への対応とサイトの改善を並行して進めます。

目次

義務と努力義務、規格の位置付けを分ける

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確認すること位置付けサイト運営での対応例
不当な差別的取扱いをしない障害者差別解消法で禁止障害があることだけを理由にサービスの利用を断らない
合理的配慮の提供事業者にも義務フォームが使えないという申し出を受け、本人と相談して利用できる受付方法を検討する
環境の整備努力義務画像の説明、キーボード操作、字幕、相談窓口などを事前に整える
JIS・WCAGの目標と試験法令上の義務と分けて確認契約・調達・業種の条件も確認し、規格、版、対象範囲、試験方法を決める

内閣府の法改正の説明は、建設的対話による対応を示しています。デジタル庁の導入ガイドブックも、Webの整備を進める参考になります。

JIS X 8341-3:2016とWCAG 2.2は版と内容が異なります。「アクセシビリティ対応済み」という言葉だけで発注せず、どの基準をどの範囲で確認するかを決めてください。規格を満たさないだけで直ちに違法と決めつけることも、努力義務を理由に個別の申し出を放置することも適切ではありません。

申し出を受けたときの対応手順

  1. どの情報・操作で困っているか、本人が希望する連絡方法で確認します。診断名など、対応に不要な情報まで求めないようにします。
  2. 本人の希望と業務の目的を踏まえ、本文での説明、利用できる別の受付方法、担当者による補助などの案を相談します。
  3. 希望どおりの方法が難しい場合も、一律に断らず、実施の影響、費用、技術面などを個別に検討し、理由と代案を説明します。
  4. 対応内容、未解決の点、確認担当を記録し、同じ不便が起きるサイトの箇所を改修候補にします。

電話は、聞くことが難しい人の代替手段にならない場合があります。「電話も置いたので完了」ではなく、本人が情報を得られ、手続きを進められるかまで確認します。

次の記録は架空の例です。個人に関する詳しい情報を記事や共有の改修表に載せず、対応に必要な記録は閲覧権限を限定して保管します。

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記録項目記入例
困っている箇所サービスページの料金表が画像だけで、読み上げで金額を確認できない
希望する方法メール本文で、対象プランの料金と条件を知りたい
当日の対応担当者が料金・税込表示・適用条件を本文で案内し、確認できたかを尋ねる
サイトの改善料金表を本文の表へ変更。担当A、確認対象はサービスページと申し込み導線
完了の条件案内した情報の確認と、改修後の読み上げ・拡大表示の確認を記録

自社でできる点検と、担当者に依頼する修正

まずトップ、主要サービス、料金、問い合わせなどの利用経路を点検します。自社で確認できる範囲でも作業時間は必要です。HTMLやフォームの修正、字幕制作、読み上げでの検証には、別の担当や外注が必要になることがあります。

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点検項目確認する方法修正・合否の判断
画像の説明画像が伝えている意味と、周囲の本文を確認情報を伝える画像には必要な説明。装飾や本文との重複は空のaltを検討
料金・営業時間画像だけに重要な情報がないか確認本文や適切な表でも同じ情報を読めるようにする
見出し・リンク内容の階層とリンク先の目的を確認見た目の大きさで見出しを選ばず、「料金プランを見る」など行き先を示す
キーボードTab、Shift+Tab、Enter、必要な矢印キーで操作メニューやフォームを使え、現在位置が見える。途中で閉じ込められない
フォーム項目名、必須表示、入力後・エラー時の案内を確認ラベルと入力欄の関連付け、具体的なエラー、修正後の操作を確認
文字と配色背景とのコントラストを数値で確認WCAGの通常の文字は4.5:1以上、大きな文字は3:1以上が基準。対象と例外を確認
拡大・スマホブラウザーの拡大と細い画面で主要経路を確認文字の重なり、操作不能、固定ボタンに隠れる箇所がないかを確認
動き・音・動画自動切り替え、停止操作、音声でしか分からない情報を確認動きを止める手段、必要な字幕・説明を用意。点滅も確認する

画像のaltはファイル名ではなく、その場所で画像が伝える情報を書きます。例えば施工前後を比較する写真なら、「白い壁の施工後写真」だけでなく、本文と合わせて変更点を説明します。リンクになっている画像は、リンクの目的を伝える必要があります。W3Cの画像の判断例を参考にしてください。

文字色と背景色の組み合わせは、コントラスト比チェックツールに色コードを入力して確認できます。

コントラストの数値はWCAG 2.2の文字の基準に基づきます。この項目だけで全体への適合は判定できません。スライダーも、切り替え間隔を長くしただけで停止手段の代わりになるとは限りません。動きを一時停止・停止・非表示にする基準を確認します。

優先順位は、企業規模より利用できない内容で決める

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状況最初に検討すること
料金を読めない、問い合わせを操作できない必要な情報・機能を使える代替方法を用意し、その箇所を修正する
動画だけで申請・利用手順を案内している字幕、内容を伝える本文、必要な音声解説などを検討する
共通メニューや入力欄に問題がある共通部品を修正し、影響するページと操作経路を再確認する
契約でJISの試験・結果公開が求められる対象ページ、目標レベル、試験方法、納品資料を見積もりに含める
支援ツールの設置を提案された解消できる問題と残る問題を確認し、本文・構造・操作の修正も判断する

字幕や規格の試験を「中小企業には不要」と一律に外しません。自動チェックも問題の発見に役立ちますが、画像の説明が適切か、操作して用件を完了できるかは人の確認が必要です。

制作会社への依頼文と費用の確認項目

次の依頼文を、対象ページと利用する機能に合わせて補足してください。

■ アクセシビリティに関する要件
・対象ページと機能:〇〇
・目標にする規格・版・レベル:〇〇
・診断と修正の範囲、検収方法:〇〇
・画像には代替テキストを入力できる構成にしてください
・見出しは階層構造を守った実装としてください
・文字と背景のコントラストを確保してください
・料金表・営業時間などの情報は画像ではなくテキストで実装してください
・キーボード操作で全機能が使えるようにしてください
・フォーカス表示(現在位置の枠線)を消さないでください
・スライダーを使う場合は停止できるようにしてください
・動画・PDF・フォームについて、必要な対応と確認を提案してください
・上記に対応した更新マニュアルを提供してください
・確認結果と未解決項目、担当・期限を記録してください
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見積もりで揃える条件確認する内容
対象と基準ページ・共通部品・フォーム・動画・PDF、規格と版、目標レベル
診断と修正自動診断、キーボード・読み上げ等の確認、修正箇所と対象外
納品・検収確認結果、未解決項目、再確認、必要なら試験結果の公開
更新後の維持画像・見出し・動画などの更新ルール、担当、再確認の条件

費用はこの範囲で変わります。新規制作に組み込む場合も、試験や素材の対応が無料になるとは限りません。診断、改修、再確認、運用説明を分けて見積もってください。要件の書き方はRFPの作り方、フォームの詳細は問い合わせフォームの改善にまとめています。

対象URLと困っている操作が分かれば、改修範囲を具体的に相談できます。MOTOKIへのお問い合わせでは、サイトの状態と希望する対応をお知らせください。

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