スクールの案内には「就職サポートあり」と書いてありますが、採用する側が何を見ているかまでは書かれていません。
制作会社の立場から、判断の実際を書きます。
1. 見る順番
ポートフォリオを準備するときは、次の順で見直すと、作品と担当範囲を伝えやすくなります。選考の順番や基準は応募先によって異なります。
- ポートフォリオのURL応募書類からすぐ開けるURLを記載し、閲覧できる状態か確認します。
- 公開されている作品があるか画像だけでなく、実際に動くサイトがあるかを見ます。
- スマートフォンで見た表示自分のスマートフォンでも開き、文字・画像・ボタンの表示を確認します。
- 作品の説明なぜそう作ったかが書いてあるかを見ます。
- 履歴書・職務経歴書作品の担当範囲と、経歴・スキルの記載が一致しているか確認します。
作品だけでなく、経歴や応募先の要件も含めて判断されます。前職の経験を制作でどう生かせるかも、具体的に説明しましょう。
2. 落ちる理由は、だいたい決まっている
| よくある状態 | 採用側がどう受け取るか |
|---|---|
| 画像を並べただけ | コーディングできるか判断できない |
| スマートフォンで崩れる | 実務では致命的。確認していないと見なされる |
| 表示が遅い | 画像サイズ、外部ファイル、サーバー応答など、遅さの原因を確認する必要がある |
| 説明が「デザインしました」だけ | 何を考えて作ったのかが分からない |
| スクールの課題だけ | 他の応募者と区別がつかない |
| リンク切れがある | 細部を確認していないと見なされる |
必要な技術水準は募集内容によって異なります。
上の6項目は、作品を正しく評価してもらうために、応募前に点検しておきたい基本事項です。
3. 説明の書き方で差がつく
作品に添える説明は、次の4点があれば十分です。
長文である必要はありません。
- 誰のためのサイトか(想定した利用者)
- 何を解決するために作ったか(目的)
- そのために何を決めたか(色・構成・導線の判断)
- 作ってみて、どこが難しかったか
4つめを書いている応募は多くありません。
しかし採用側はここを読みたがっています。
難しかった点を言語化できる人は、実務でも詰まったときに相談ができるからです。
避けたい書き方
「おしゃれなデザインを心がけました」「見やすさを意識しました」。
この2つは、ほぼすべての応募に書かれています。
書いても差になりません。
代わりに「飲食店を想定したので、営業時間と電話番号を最初の画面に置いた」のように、判断の理由を書いてください。
4. 作品は何点あればよいか
募集要項に指定がなければ、役割の異なる3点をそろえる構成が一例です。
点数だけでなく、目的と担当範囲が説明できるかを重視しましょう。
| 点数 | 内容 |
|---|---|
| 1点目 | 架空でよいので、目的のある企業サイト。実際に公開する |
| 2点目 | 1点目とは業種を変えたもの。同じ型を繰り返していないことを示す |
| 3点目 | バナーやLPなど、形式の違うもの |
スクールの課題だけを並べると、同じスクールの応募者と見分けがつかなくなります。
1点でよいので、自分でテーマを決めた作品を入れてください。
実在の店舗を想定する、家族や知人の事業を題材にするといった形で構いません。
5. 実際に公開することの意味
ドメインを取り、サーバーを借りて、公開する。
この一連をやったことがあるかどうかは、思っている以上に見られています。
実務では、作って終わりではありません。
公開の作業、公開後の不具合対応、表示速度の調整までが仕事です。
学習の段階でこれを一度でも経験していると、入社後の立ち上がりが違います。
費用は年間で数千円から1万円ほどです。
学習にかける費用としては小さく、得られる経験は大きい部分です。
サーバーとドメインの選び方は、SHIKUMIの別の記事にまとめています。
6. 年齢について
応募先の募集要項で、求めるスキルと経験を確認しましょう。
年齢だけで採用の見込みを判断せず、現在できることと、前職から生かせる経験を具体的に伝える準備が大切です。
前職の経験は、次のように制作業務との接点を整理できます。
- 営業経験がある → 顧客とのやり取りができる人材として見られる
- 医療・介護・士業の経験がある → その業界のサイト制作で強みになる
- 印刷・DTPの経験がある → 制作の基礎ができている
- 事務職でExcelを使い込んでいた → 手順を整える力があると見られる
地域や業種への理解を生かしたい場合は、応募先の制作実績と募集要項を確認してください。会社紹介記事だけでは、現在の採用条件や求める人物像までは判断できません。
まとめ
- ポートフォリオのURLを分かりやすく記載し、経歴と担当範囲を一致させる
- 応募前に、表示・動作・リンク・作品説明を点検する
- 説明には「難しかったこと」を書く。
書いている人は少ない - 作品数は募集要項に合わせる。自分でテーマを決めた作品も用意する
- 一度でいいから、自分で公開する経験をしておく
- 前職の経験を、希望する業務でどう生かせるか説明する
この記事を書いた会社
SHIKUMIを運営するMOTOKI合同会社は、WordPressに特化したホームページ制作会社です(埼玉県所沢市)。
制作実績と担当範囲を公開しています。
単一の自社メディアで月間30万PVを達成した過去の実績があります(現在の月間PVではありません)。
MOTOKIはスクールの運営会社ではありません。Web制作の立場から、学習内容や作品づくりの確認点を紹介しています。
Webデザインの仕事・就職に関する記事
この記事は「採用側がポートフォリオのどこを見ているか」を扱っています。
関連する内容は、それぞれ別の記事にまとめています。
- Webデザイナーになるには|必要な技能と、学ぶ順番
よくある質問:制作会社に未経験で応募するとき
制作会社は、未経験者の応募をどの順番で見ていますか?
選考の順番は応募先によって異なります。ポートフォリオのURLを分かりやすく記載し、作品の表示、担当範囲の説明、職務経歴書との整合性を確認してください。
ポートフォリオで落ちる理由は、何ですか?
採否の理由は会社ごとに異なりますが、リンク切れや表示崩れ、担当範囲の不明確さがあると作品を評価しにくくなります。本文の6項目を、応募前の点検に使ってください。
作品の説明には、何を書けばよいですか?
想定する利用者、制作の目的、構成やデザインを決めた理由、難しかった点と対処を書きます。共同制作なら、自分が担当した範囲も明記しましょう。
「おしゃれなデザインを心がけました」と書いてもよいですか?
抽象的な言葉だけで終わらせず、どこをどう工夫したかを添えてください。たとえば「飲食店の利用者が迷わないよう、営業時間と電話番号を最初の画面に置いた」と説明できます。
作品は、何点あればよいですか?
募集要項に指定があれば従ってください。指定がなければ、業種や形式の異なる3点を用意する構成が一例です。点数を増やすより、各作品の意図と担当範囲が伝わるかを確認しましょう。
実際にサイトを公開する経験は、必要ですか?
サイトの実装や運用を担当したい場合は、公開と、その後の表示・動作確認を経験しておくと、作業を具体的に説明できます。公開が難しい作品は、閲覧方法を応募先の指定に合わせて準備してください。
年齢が上がると、不利になりますか?
年齢だけで採用の見込みは判断できません。募集要項を確認し、現在の制作スキルと、顧客対応・業界知識など前職から生かせる経験を具体的に示しましょう。
地方の制作会社では、どんな人が求められていますか?
各社の募集要項と制作実績を確認してください。地域の業種への理解が業務にどう役立つかを説明できると、経験を伝える材料になります。地域だけで採用傾向を決めつけないことが大切です。

