「既にサイトがあるのだから、リニューアルは安く済むはず」
よくある誤解です。実際には、リニューアルの費用は新規制作の70〜100%かかります。場合によっては、新規に作るより高くなることもあります。
この記事では、なぜそうなるのかを工程レベルで分解し、費用を左右する要因と抑える方法を解説します。
この記事で分かること
- 規模別のリニューアル費用の相場
- 新規制作にはない、リニューアル特有の工程
- 費用が上振れする要因
- 見積もりで必ず確認すべき項目
規模別の相場
| 規模 | 費用 | 期間 |
|---|---|---|
| 小規模(〜10ページ) | 40万〜100万円 | 2〜3か月 |
| 中規模(15〜30ページ) | 100万〜250万円 | 3〜5か月 |
| 大規模(30ページ以上) | 250万〜600万円 | 5か月〜 |
| 記事数が多いメディア | 移行費用が加算される | 要件次第 |
新規制作の相場とほぼ同じ水準です。理由は次章のとおりです。
リニューアル特有の工程
新規制作にはない作業が、これだけ加わります。
| 工程 | 内容 | 費用の目安 |
|---|---|---|
| 現状調査 | 全ページの棚卸し、アクセス解析、検索順位の把握 | 5万〜20万円 |
| コンテンツ移行 | 既存記事・事例・画像を新サイトへ移す | 件数に比例 |
| リダイレクト設計 | 旧URLから新URLへの転送設定と一覧表の作成 | 5万〜20万円 |
| 公開切り替え作業 | 本番反映、動作確認、旧環境の停止 | 3万〜10万円 |
| 公開後の監視 | エラー検知、順位変動の確認 | 5万〜15万円 |
この5工程だけで20万〜80万円になります。新規制作より安くならない理由が、ここにあります。
また、既存コンテンツをそのまま流用できるケースは稀です。情報が古い、構成が変わる、書き方の方針が変わる——結局、書き直しになることが大半です。
費用が上振れする要因
| 要因 | 影響 |
|---|---|
| 記事・事例の件数が多い | 移行作業が件数に比例。500件を超えると大きな費用に |
| カスタム投稿タイプの再設計 | 実績・事例の構造を作り直す場合、設計工数が発生 |
| URLの変更を伴う | リダイレクトの一覧作成と検証が必要 |
| ドメインの変更を伴う | 影響範囲が最大。原則として避けるべき |
| 既存サイトの管理情報が不明 | 調査から始める必要がある |
| 会員機能・独自システムがある | データ移行の設計が必要 |
| 多言語対応がある | 言語数だけ作業が増える |
| 写真の撮り直しが必要 | 5万〜20万円/日 |
管理情報が不明な場合は、まず調査が必要です。手順はドメイン・サーバーの管理情報が分からないときの調査手順をご覧ください。
見積もりで必ず確認する項目
- 既存コンテンツを何件移行するか(件数が明示されているか)
- 移行作業は制作会社が行うか、自社か
- 301リダイレクトの一覧表を作成するか
- 現行サイトのアクセス解析を踏まえた提案になっているか
- 原稿は既存流用か、書き直しか
- 公開後の不具合対応は何か月含まれるか
- 旧サーバーの停止時期と、その間の費用負担
3つ目が最重要です。リダイレクト設計を怠ると、これまで積み上げた検索評価が失われます。リニューアル最大の事故であり、後から回復させるのは困難です。
4つ目も見逃せません。データを見ずに「全面刷新」を提案する会社は、成果の出ていたページまで壊す可能性があります。
費用を抑える方法
1|移行する記事を絞る
アクセスのない記事まで移行する必要はありません。アクセス数の上位から移行対象を決め、残りは関連ページへリダイレクトするという判断で、移行費用は大きく下がります。
判断にはアナリティクスのデータが必要です。導入していない場合は、リニューアルを決めた時点ですぐ設定してください。データが貯まるまで数か月かかります。
2|URLを変えない
リダイレクト設計の工数が丸ごと不要になります。構成を大きく変える場合でも、既存URLを維持できないか検討してください。
3|段階的に進める
全面リニューアルではなく、優先度の高いページから作り替える方法です。
| 段階 | 内容 | 費用の目安 |
|---|---|---|
| 第1段階 | トップと主要サービスページのみ刷新 | 30万〜60万円 |
| 第2段階 | 会社概要・実績ページ | 20万〜40万円 |
| 第3段階 | ブログ・記事部分 | 20万〜50万円 |
一度に払う金額を抑えられるうえ、第1段階の効果を見てから次を判断できるという利点があります。
4|そもそもリニューアルが必要か再確認する
課題が「料金が書かれていない」「実績が古い」といった内容面なら、部分改修で5万〜30万円程度で解決できることがあります。
判断基準はリニューアル判断チェックリストにまとめています。「デザインが古い」だけが理由なら、急ぐ必要はありません。
補助金は使えるか
条件を満たせば、リニューアルも補助金の対象になり得ます。ただし「古くなったから作り直す」という理由では採択されません。
申請書では、「現状の課題を、このリニューアルでどう解決し、どんな成果を目指すか」を数字で示す必要があります。アクセス数や問い合わせ件数の現状値があると、計画に説得力が出ます。
制度の詳細と注意点はホームページ制作に使える補助金をご覧ください。交付決定前に発注すると対象外になる点に、特にご注意ください。
よくある質問
Q. デザインだけ変えることはできますか?
可能です。WordPressでテーマを変更する形なら、コンテンツを維持したまま見た目を刷新できます。ただし記事内の装飾が崩れるため、その修正工数が発生します。詳しくはテーマ移行の手順と注意点をご覧ください。
Q. 制作会社を変えてリニューアルできますか?
できます。ただしサーバー・ドメインが自社名義で、管理情報が手元にあることが前提です。制作会社名義になっている場合は、まずその整理から始める必要があります。
Q. 公開後、どのくらいでアクセスは戻りますか?
リダイレクトが正しく設定されていれば、数週間〜3か月程度で落ち着きます。一時的に下がることはありますが、正常な範囲です。ただし3か月経っても戻らない場合は、設定に問題がある可能性があります。
Q. 見積もりに「コンテンツ移行」がありません
自社負担になっている可能性が高いです。必ず確認してください。記事100本の移行を社内で行うと、相当な工数になります。「範囲外の作業を教えてください」という質問で、事前に把握できます。
まとめ
- リニューアルは新規制作の70〜100%かかる。安くはならない
- 現状調査・コンテンツ移行・リダイレクト設計という特有の工程が加わる
- 見積もりでは「移行件数」と「リダイレクト一覧の作成」を必ず確認
- 費用を抑えるなら移行記事を絞る・URLを変えない・段階的に進める
- 内容面の課題なら、部分改修で足りることがある
リニューアルは、費用の大きさより「何を解決するために作り直すのか」が成否を分けます。目的が1つに絞れているかを、着手前に確認してください。

