Shifterは、WordPressで書いた記事を静的なHTMLに書き出して配信するサービスです。
管理画面はいつものWordPressのまま、訪問者には書き出したHTMLだけを見せます。
動的処理を公開側から減らせる一方、フォームやコメントのように訪問者の操作で動く機能はそのままでは使えません。
最終調査日:2026年10月15日
この記事で分かること
- Shifterの仕組みと、通常のWordPressとの違い
- Shifterのメリットとデメリット
- Shifterで動かない機能と、代わりの方法
- 2026年の料金と、上限を超えたときの扱い
- どちらを選ぶかの目安
選び方:必要な機能と、更新の反映を待てる時間で比べる
| サイトの種類 | 向いているほう | 理由 |
|---|---|---|
| 会社案内・採用・製品紹介 | Shifter | 静的配信で必要な機能を満たせるか確認する |
| キャンペーンやイベントの特設ページ | Shifter | 一時的にアクセスが集中しても、配信網が受け止める |
| 記事を毎日更新するブログ | WordPress | 生成と公開の所要時間が、更新の締切に合うか確認する |
| ネットショップ・会員サイト | WordPress | WooCommerceや会員機能は静的配信では動かない |
| 問い合わせが多いサイト | どちらも可 | Shifterでは外部のフォームサービスに置き換える |
迷ったら、サイトの中で「訪問者が何かを送る・ログインする」場所を数えます。
その場所が無いか、外部サービスで置き換えられるなら、Shifterの利点が生きます。
Shifterとは
Shifterは、デジタルキューブが提供するWordPressのホスティングサービスです。
編集用のWordPressは一時的な環境で動き、公開するときにサイト全体を静的なHTMLに書き出して、配信網(CDN)に載せます。
PHPで動くWordPressを見られるのは、Shifterの管理画面に入れる人だけです。
訪問者が見るのは、書き出したHTMLの版です。
| 項目 | 通常のWordPress | Shifter |
|---|---|---|
| 訪問者が見るもの | アクセスのたびにPHPが作るページ | あらかじめ書き出したHTML |
| 配信する場所 | 契約したサーバー | Shifterの配信網 |
| 更新の反映 | 公開・更新後に反映(キャッシュ等も確認) | 書き出し(生成)と公開の操作が要る |
| 管理画面 | いつでも開いている | 編集するときだけ起動する |
| フォーム・コメント・検索 | プラグインでそのまま動く | 外部サービスに置き換える |
| 料金の払い方 | サーバー代(月額) | プランごとの月額・年額(米ドル) |
Shifterのメリット
1. 表示が速い
ページはすでにHTMLになっているので、表示のたびにPHPやデータベースを動かしません。
配信網から近い場所のサーバーが返すため、サーバーの性能に左右されにくくなります。
画像を軽い形式に変えて配信するMedia CDNも、Tier 1から使えます。
2. 攻撃を受ける場所が少ない
訪問者の前にWordPressもPHPも出ていないので、公開側のWordPressログインやPHP処理を狙う攻撃の対象を減らせます。
Shifterの管理アカウントや外部連携の保護は引き続き必要です。
WordPressの管理画面は編集するときだけ動き、ふだんは閉じています。
プラグインの更新が遅れたときの危うさも、通常のWordPressより小さくなります。
3. アクセスが集中しても落ちにくい
配信は配信網が受け持つので、テレビや大きなSNS投稿でアクセスが急に増えても、サーバーの処理が詰まる形の停止は起きにくくなります。
ただし、プランごとの転送量の上限はあります(後述)。
4. 書く人はいつものWordPressで書ける
記事を書く画面はWordPressそのものです。
テーマやブロックエディターもそのまま使えるので、書く人の覚え直しはほとんどありません。
5. バックアップと巻き戻しが付いている
料金ページでは、全プランに自動バックアップ10件と、書き出した版(Deploy Artifacts)10件が含まれています。
公開中のサイトを前の版に戻す機能(Live Site Rollbacks)もあります。
Shifterのデメリット
1. 訪問者の操作で動く機能は、そのままでは使えない
Shifterの公式サポートは、静的な配信では動かないプラグインの種類と、代わりの方法を挙げています。
| 機能 | Shifterでの扱い | 公式が挙げる代わりの方法 |
|---|---|---|
| コメント | WordPressのコメントは使えない | Disqus・Facebookのコメント |
| お問い合わせフォーム | Contact Form 7はそのままでは送れない | WP Serverless Forms+外部のフォームサービス(Basinなど) |
| サイト内検索 | WordPressの検索は使えない | Algolia・Googleのカスタム検索 |
| ネットショップ | WooCommerceなどは動かない | Shopifyなど外部のショップ |
| 会員サイト・掲示板 | BuddyPress・bbPressは動かない | 掲示板はZendeskなど |
| REST API | 管理画面にログイン中だけ使える | 代わりの方法なし |
| メンテナンス表示のプラグイン | 対応しない | 代わりの方法なし |
料金ページには、Shifter独自のサイト内検索(Shifter Search)も載っています。
検索は、外部サービスを足さずに済む場合があります。
2. 更新のたびに書き出しが要る
記事を保存しただけでは、公開中のサイトは変わりません。
書き出し(生成)と公開の操作をして、はじめて反映されます。
ページ数が多いと書き出しに時間がかかるので、毎日何本も公開するサイトでは待ち時間が積み重なります。
予約公開には、書き出しを予約する機能(Schedule Site Deploys)を使います。
3. 料金が米ドル建てで、2026年に値上がりした
2026年1月15日の告知で、全プランの料金が改定されました。
新規の契約は2026年4月1日から、既存の契約は2026年5月1日以降の請求・更新から新料金です。
支払いは米ドルなので、円に直した金額は為替で変わります。
4. 1プラン1サイトで、転送量に上限がある
料金ページでは、どのプランもサイトは1つです。
転送量の上限を超えると、サイトへのアクセスが絞られ、訪問者には「509 Bandwidth Limit Exceeded」のエラーが表示されると公式サポートに書かれています。
5. 使い慣れたプラグインが動くとは限らない
書き出しのときに、静的な配信に対応しないプラグインは止められます。
移す前に、今のサイトで使っているプラグインを1つずつ確かめる必要があります。
Shifterの料金(2026年10月時点)
| プラン | 月払い | 年払い | 容量 | 転送量(月) |
|---|---|---|---|---|
| Tier 1 | 40ドル | 384ドル | 5GB | 50GB |
| Tier 2 | 60ドル | 576ドル | 10GB | 100GB |
| Tier 3 | 200ドル | 1,296ドル | 100GB | 1TB |
どのプランもサイトは1つ、独自ドメインとHTTPSが使えます。
Tier 2では、外部と連携するWebhookなどが加わります。
改定の告知には、従量課金の配信網の転送料として1GBあたり0.38ドルも書かれています。
無料で試す場合は、7日間、Shifterのドメインで使える試用が案内されています。
ただし、2026年8月31日の告知で、無料プランと新規の試用の受付を2026年9月8日から10月8日まで(予定)止めると発表されました。
再開したかどうかは、申し込む前に公式サイトで確かめてください。
通常のWordPressの費用は、レンタルサーバー代が中心です。
サーバーごとの料金は「WordPress向けレンタルサーバーの選び方と主要6社の比較」で比べています。
通常のWordPressのメリット・デメリット
メリット
- フォーム・コメント・検索・ネットショップ・会員機能が、プラグインでそのまま動く
- 公開・更新した内容が配信される。下書き保存では公開されず、キャッシュ等による反映待ちも確認する
- 1つの契約で複数のサイトを置けるレンタルサーバーが多い
- 国内のレンタルサーバーなら、円建ての月額で払える
- 使える人・情報・制作会社が多く、困ったときに調べやすい
デメリット
- WordPress本体・テーマ・プラグインの更新を続けないと、脆弱性が残る
- ログイン画面が公開されているので、総当たりの攻撃を受ける
- 表示の速さが、サーバーの性能とキャッシュの設定に左右される
- アクセスが急に増えると、サーバーの処理が追いつかずに落ちることがある
デメリットの多くは、設定で小さくできます。
守りを固める方法は「WordPressにセキュリティヘッダーを設定する方法」と「入れるべきWordPressプラグイン/入れてはいけないプラグイン」で解説しています。
Shifterに移る前に確かめること
- サイトの中に、フォーム・コメント・検索・ログインがいくつあるか
- それぞれを外部サービスに置き換えたときの、月額と手間
- 使っているプラグインが、静的な配信で動くか
- 1か月の転送量が、選ぶプランの上限に収まるか
- 更新の頻度と、書き出しにかかる時間が見合うか
- 外部のシステムがREST APIでサイトを読みに来ていないか
REST APIは管理画面にログインしている間しか使えないので、外部からサイトのデータを読む仕組みがある場合は作り直しになります。
REST APIの使い道は「WordPress REST APIとは?」にまとめています。
移行前テストの完了条件
- 代表的な記事を編集し、生成開始から公開URLで変更を確認するまでを計測する。許容できる待ち時間を担当者と決める。
- フォームは送信画面だけでなく通知の受信まで、検索は結果ページまで確認する。ログインや決済等が必要なら外部機能を含む全体を確認する。
- 記事と画像のURL、リダイレクト、robots指定を移行前の一覧と照合する。
- 公開に失敗した場合、前の配信版へ戻す手順と、変更前のデータを保管する方法を確認する。
1ページで成功しても、全ページの生成時間や全プラグインの動作を確認したことにはなりません。
ページ数と試した機能を記録します。
よくある質問
Q. Shifterに移すと、今のテーマはそのまま使えますか
編集はWordPressなので、テーマはそのまま入れられます。
見た目は同じでも、テーマが持つ検索やコメントの部分は、静的な配信では動きません。
書き出した版を公開前に見て、動かない部分が残っていないかを確かめます。
Q. お問い合わせフォームは使えなくなりますか
WordPressのプラグインだけで送る形は使えません。
Shifterは、Contact Form 7の送信先を外部のフォームサービスに切り替えるプラグイン(WP Serverless Forms)を案内しています。
外部のフォームサービスにも料金と送信数の上限があるので、合わせて確かめます。
Q. SEOに不利になりますか
静的配信へ移すだけでSEO上の有利・不利は決まりません。
URL、本文、内部リンク、canonical、robots指定、構造化データ等が意図した状態で残っているか確認します。
速度も、同じページ・端末・回線条件で移行前後を測定して判断します。
今回、生成時間・表示速度・検索順位への影響は実測していません。
注意するのは、書き出しの漏れでページやリダイレクトが抜けることです。
Shifterには、リダイレクトを設定する機能(Webpage Redirects)があります。
Q. 通常のWordPressで速さと安全性を上げる方法はありますか
ページのキャッシュ、画像の圧縮、CDNの利用で、表示はかなり速くなります。
安全性は、更新を続けることと、ログイン画面の守りで上げられます。
動く機能を残したいなら、Shifterに移すより、この方向で手を入れるほうが手間は少なく済みます。
まとめ
- Shifterは、WordPressで書いて、静的なHTMLとして配信するサービス
- メリットは、表示の速さ・攻撃を受けにくいこと・アクセス集中への強さ
- デメリットは、フォームやコメントなど動く機能の置き換えと、更新ごとの書き出し
- 2026年の改定後の料金は月40ドルから(米ドル建て・1プラン1サイト)
- 更新の少ない会社案内や特設ページならShifter、ブログやショップなら通常のWordPress
出典
- Shifter Static Pricing(料金ページ):プランごとの料金・容量・転送量・機能
- Important Update: Shifter Pricing Adjustment(2026年1月15日):料金の改定と適用日
- Shifterのお知らせ(2026年8月31日):無料プランと試用の受付停止
- Common WP plugins incompatible with Shifter and their alternatives:動かないプラグインと代わりの方法
- What happens if storage or data transfer exceeds plan’s limit?:上限を超えたときの扱い
- Why does my WordPress container stop running?:編集用のWordPressが一時的な環境で動く仕組み
料金と機能は改定されることがあります。
申し込む前に、公式サイトの最新の表示を確かめてください。



