最近、「Next.js+ヘッドレスCMS(例:microCMS、Contentful、Sanityなど)」といったWebアプリ開発向けの技術スタックをWeb制作にも使いたいという相談をよく受けます。
たしかに、表示速度が速く、サーバーコストも抑えられるというメリットがあります。
しかし実際には、エンジニアによる保守や開発工数が思いのほかかかるため、結果的にコストが高くつくケースが少なくありません。
目次
Webアプリ開発の意識でWeb制作をすると、なぜコストが上がるのか?
それは、Webアプリ開発とWeb制作で「目的」や「前提となる考え方」が大きく異なるからです。
Webアプリ開発とWeb制作の意識・前提の違い
項目 | Webアプリ開発(Next.js+Headless) | Web制作(WordPress) |
---|---|---|
目的 | 機能性・パフォーマンス重視 | 情報発信・SEO重視 |
UI設計 | 自由自在・ゼロから構築 | テーマベースのテンプレ設計 |
CMSの位置づけ | API経由のデータ提供 | サイトの中心機能 |
更新の主体 | エンジニアによる保守・運用 | クライアント・編集者自身 |
初期構築コスト | 高い(設計・実装含む) | 比較的安価に構築可能 |
保守・運用 | CI/CDやGit管理が前提 | 管理画面から対応可能 |
速度・拡張性 | 非常に高い(SSGやISR) | 高速化には工夫が必要 |
結論:目的と運用者に合わせて選ぶのがベスト
Next.jsを使ったWebアプリ開発は、高度なパフォーマンスと機能性を必要とするプロダクト開発に最適です。
一方、WordPressは、ブログ・メディア・コーポレートサイトのように情報発信が中心のサイトに向いており、誰でも更新できる手軽さとコスト効率の高さが魅力です。
選定のポイントは「誰が・何を・どの頻度で」更新するか
- 頻繁に情報発信したい
- 技術者でなくても更新できる体制にしたい
- 長期的にコストを抑えて運用したい
こうしたニーズがある場合は、WordPressの方が圧倒的に向いています。
最後に
見た目や技術的な魅力に惹かれて高機能なスタックを選んでも、実際の運用体制と合っていなければ、余計なコストや工数が発生します。
「技術的にできるか」ではなく、「その体制で長く運用できるか」を考えることが、成功するWebサイト制作のカギです。