歯科医院のウェブサイトを立ち上げたりリニューアルしたりする場合、サイトの設計やディレクトリ構造をどう決めるかで、運営のしやすさも、SEO(検索エンジン最適化)の成果も大きく変わります。
本記事では、「小規模・中規模・大規模」の歯科サイトにおけるディレクトリ構造の設計ポイントを、具体例とともに解説していきます。
ウェブ担当者やサイト制作に携わる方はもちろん、これから歯科医院のサイトを作ろうと考えている方にも役立つ内容です。ぜひ参考にしてみてください。
歯科サイトにおけるディレクトリ構造の重要性
ディレクトリ構造のポイントは以下の3点です。
ユーザーの使いやすさ(UI/UX)の向上
歯科サイトでは、患者さんが「診療案内」や「医院の場所・アクセス情報」などの欲しい情報をスムーズに探せることが重要です。
ディレクトリ構造が分かりやすいほど、ユーザーは迷うことなく目的のページに到達できます。
また、わかりやすいナビゲーションや階層設計を行うとサイト滞在時間が伸びやすく、医院への信頼感も高まりやすいです。
検索エンジン最適化(SEO)への影響
検索エンジンはサイトの構造を読み込んでクローリングを行います。
ディレクトリが整備されていると、クローラーが各ページの関係性を理解しやすくなるため、結果的にSEOにプラスになります。
逆に階層が深すぎたり、リンクが複雑すぎたりするとクローラーの巡回効率が落ち、評価されにくくなるリスクがあります。
運用・拡張性
「医院の拡張に合わせてページを追加したい」「キャンペーンページを新設したい」など、運用していく中で新しいページを増やしたり、既存ページを整理したりすることはよくあります。
明確なディレクトリ構造を設計しておけば、後から追加するページの置き場所に迷うことが少なく、リニューアルやレイアウト変更もスムーズに行えます。
小規模・歯科サイトのディレクトリ構造
まずは最小限のディレクトリ構成から解説します。
特徴とコンテンツ量
小規模サイトは、5〜10ページほどの構成で、歯科医院の基本情報や診療案内、お問い合わせページなどが中心になります。ブログやお知らせ欄が付いている場合もありますが、基本的にはページ数が少ないのが特徴です。
推奨される基本構造(例)
/トップページ├─ about/ (医院紹介)
├─ service/ (診療案内)
├─ contact/ (お問い合わせ)
└─ blog/ (医院ブログなど任意)
- トップページ
ユーザーが最初に訪れる玄関口。メインビジュアルや医院のコンセプトを伝えやすいよう設計します。 - about/
医院紹介、理念や方針、院長・スタッフのプロフィールなどを掲載します。 - service/
診療案内の詳細を記載。一般歯科、クリーニング、予防歯科など、医院の主なサービスをまとめます。 - contact/
お問い合わせや予約フォームのページ。SSL化(HTTPS)の対応を忘れずに。 - blog/(任意)
定期的に更新するブログがあれば設置。医院からのお知らせやスタッフの日常などを発信。
注意点
- 階層は浅めに:ページ数が少ないので、複雑にせずトップページから2クリック以内で目的の情報にアクセスできるよう意識しましょう。
- サイトマップやパンくずリスト:検索エンジンとユーザーが迷わないように、わかりやすい導線を整備することが大切です。
中規模・歯科サイトのディレクトリ構造
数年、運用してサイト設計を見直しするみたいなサイトのディレクトリ構造を解説します。
特徴とコンテンツ量
10〜50ページ程度の歯科サイトの場合、診療科目の多様化やスタッフ紹介、症例紹介、FAQなどの情報が増えます。
ページ数が増える分、「何をどのカテゴリーに入れるのか」「どの階層構造にするのか」の設計が必要です。
推奨される基本構造(例)
トップページ├─ about/
│ ├─ philosophy/ (医院理念)
│ └─ staff/ (スタッフ紹介)
├─ service/ (診療案内)
│ ├─ general/ (一般歯科)
│ ├─ orthodontic/ (矯正歯科)
│ └─ implant/ (インプラント)
├─ case/ (症例紹介)
├─ faq/ (よくある質問)
├─ news/ (新着情報)
├─ blog/ (医院ブログ)
└─ contact/
- about/
医院の理念や歴史、スタッフ紹介などをサブディレクトリで管理し、見やすい導線を確保します。 - service/
各診療科目ごとにサブディレクトリを用意し、より詳細な情報を掲載します(治療内容、費用、治療期間の目安など)。 - case/
症例紹介ページ。画像や治療経過など、患者さんにイメージしやすい情報をまとめると効果的です。 - faq/
患者さんがよく抱く疑問や不安点をQ&A形式で紹介します。ユーザーの利便性とSEOどちらにも有効です。 - news/・blog/
新着情報とブログを分けることで、公式のお知らせと日々の情報発信を区別できます。
サイト設計・管理のポイント
- カテゴリ分けの明確化:中規模になると診療科目が増えるため、カテゴリ分けをはっきりさせておくことが大事です。
- 階層を深くしすぎない:ユーザーが迷わないように2〜3階層以内におさめるのが目安。
- コンテンツの一元管理:WordPressなどCMSを利用すると更新管理がしやすく、スタッフが複数人いても運用が楽になります。
大規模・歯科サイトのディレクトリ構造
大手の歯科サイトのディレクトリ構造を解説します。
特徴とコンテンツ量
大規模サイトは、50〜100ページ以上になる場合が多く、多院展開する歯科医院グループや、専門性の高いメディアサイトなどが該当します。
診療内容や症例、キャンペーン、スタッフインタビューなど、多角的な情報が集まるため、設計段階で将来的な拡張性も念頭に置く必要があります。
5-2. 推奨される基本構造(例)
トップページ├─ about/
│ ├─ philosophy/
│ ├─ staff/
│ └─ clinic-tour/ (院内紹介)
├─ service/
│ ├─ general/
│ ├─ orthodontic/
│ ├─ implant/
│ ├─ aesthetic/ (審美歯科)
│ └─ pediatric/ (小児歯科)
├─ location/ (複数医院がある場合は医院別に整理)
│ ├─ clinicA/
│ ├─ clinicB/
│ └─ clinicC/
├─ case/
│ └─ interview/ (患者インタビュー・実際の声など)
├─ media/ (専門記事・コラム・メディア掲載実績)
├─ faq/
├─ news/
├─ campaign/ (キャンペーンやイベント)
├─ blog/
└─ contact/
- service/ の大分類
一般歯科・矯正歯科・インプラント・審美歯科・小児歯科など、医院で扱う診療科目を大分類として構造化します。さらに必要に応じてサブカテゴリを増やしてもOKです。 - location/(多院展開時)
エリア別や医院ごとにページをまとめます。アクセスマップや診療時間、電話番号などをきちんと分けて掲載し、混在しないようにしましょう。 - campaign/
特定期間だけ行うキャンペーンやイベント情報をまとめて掲載。トップページやバナーからの遷移もしやすいよう工夫しましょう。
サイト設計・管理のポイント
- 多院展開や今後の追加に備えた拡張性:新しい医院が増える際にもスムーズにページを追加できるよう、あらかじめディレクトリを想定しておきます。
- 運営メンバーごとにコンテンツを分ける:院長のブログ・スタッフのブログ・患者さんインタビューなど、コンテンツの性質に合わせてディレクトリを整理すると管理が楽になります。
- CMS(WordPressなど)の導入:ページが多いほど、更新やリライトを担当する人が増えるので、管理画面から簡単に作業できるCMSが向いています。
SEO・運用面での共通注意点
ここは基本的なSEOの注意点になります。
パンくずリストの整備
どの階層に属しているページなのかをユーザーがひと目で把握できるよう、パンくずリストを設置しましょう。特に大規模サイトでは効果絶大です。
サイトマップ(HTML・XML)の作成
- HTMLサイトマップ:ユーザーが全体構造を理解しやすくなり、目的のページに直接アクセス可能です。
- XMLサイトマップ:検索エンジン用に用意すると、クローラーの巡回効率を高められます。
URL設計でのキーワード活用
ディレクトリ名やURLに「implant」「orthodontic」など、わかりやすいキーワードを含めると、ユーザーにも検索エンジンにも内容を伝えやすくなります。
セキュリティとデータ保護
歯科医院のサイトでは個人情報を扱う機会が多いので、SSL化(HTTPS化)は必須です。問い合わせフォームや予約フォームの安全性にも注意しましょう。
運用ルールの明確化
- 定期的なリンクチェック:リダイレクト設定やリンク切れを放置しない。
- 重複ページ・不要ページの整理:SEO上の評価を保つためにも、情報が古くなったら更新か削除を検討する。
今後の拡張を見据えた設計
将来的な多院展開や科目追加への対応
初期設計の段階から、「医院が増えた場合」「診療内容が増えた場合」を想定しておくと、ページ構造の変更で苦労しにくいです。
多言語対応(インバウンド需要)
訪日外国人患者の増加を見込み、/en/
や/cn/
など多言語サイトの準備を検討する場合は、最初からメインディレクトリ配下で対応できるよう設計すると効率的です。
外部連携サービスとの統合
予約システムやチャットボットなど外部サービスを組み込む場合も増えています。そうした機能を追加してもサイト構造が破綻しないように余地を残しておきましょう。
まとめ
- 小規模サイト:ページ数が少ない分、シンプルさとわかりやすい導線が最優先。
- 中規模サイト:診療科目やコンテンツが増え始めるので、カテゴリ設計と階層管理をしっかり行い、SEOも意識する。
- 大規模サイト:将来的な拡張を考慮しながら、複雑なコンテンツを整理。CMSの導入や多院・多言語対応、キャンペーンページの追加など柔軟に対応できるようにする。
歯科サイトは患者さんが医院を選ぶ上での“最初の接点”となることが少なくありません。
ユーザービリティとSEO、運用効率をバランスよく考えたディレクトリ構造で、多くの方に安心と信頼を感じてもらえるウェブサイトを目指しましょう。